ボランティアと災害の体験から得るものについて

熊本地震で被災された皆さまにお見舞いを申し上げますとともに、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。今回の地震は同じ場所で震度7を2回記録するという観測史上初めての大地震であり、今も地震が続いています。いつもの生活が奪われてしまった被災された方々は、4月14日以降大きな不安の中で毎日を過ごしておられることと思います。避難生活を送られている方々、被災された方々の生活が1日も早く元の生活に戻ることを願っています。

思い出したある女性の言葉

私は東日本大震災、福島第一原発事故の後、地域の友人たちと支援物資を送ったり、現地に届けたりしていました。この活動が今は、福島の子どもたちの保養キャンプへと形をかえて継続しています。当時、それまで経験したことのないあまりに大きな震災・津波と原発事故に、何かしたいけれど何をすればいいんだろう、そんな思いでいた時、阪神・淡路大震災の被災者の方々との交流を続けている一人の女性と知り合いました。ボランティアの先輩である彼女から、「多くの人を支援しようと思わないで、一人でいいからその人とずっと関係を持ち続けて」という言葉をもらい、目の前の靄がはれ、活動を続けることができています。

災害時の自治体連携

今回の熊本地震では、物資を送る時の仕分けの徹底やエコノミー症候群の予防が報道などで呼びかけられるなど、これまでの災害の体験が少しは活かされている部分もあるかと感じます。それでも、被災者の方々にとってはまだまだ不安、不自由、不便な生活です。

中野区からは、救援物資を載せた10tトラック1台、4tトラック2台が19日に区を出発、20日に熊本市に到着して、現地から要請のあった物資を届けました。アルファ米6,400食、お粥約15,774食、クラッカー84缶、粉ミルク20缶(1缶300g)、飲料水500ml7,800本、2ℓ2,292本。給水袋や毛布、ブルーシート、生理用品など他に要請のあったものは板橋区や渋谷区から送られています。物資の他には、応急危険度判定士(建築物の倒壊の危険度等を判定)、保健師が派遣されます。

熊本県の要請を受けての支援は、被災地が必要としているものや人を必要な場所に届けられる有効な支援のあり方の一つであり、災害時の自治体連携をうまく機能させることは、被災者の方々の不安の緩和につながると思います。また、区(市)の職員が被災地での経験を自分の自治体での防災、避難計画に役立てられます。ここ20年くらいの間に大きな地震が続いています。過去の災害の経験から得たものをこれから起こる災害に活かすことを、自治体と住民それぞれが今まで以上に本気で考え、取り組んでいかないとと痛感しています。