雨水の活用と浸透の推進について(第3回定例会一般質問)

2016年12月3日 00時49分 | カテゴリー: 活動報告

落合水再生センターを見学

落合水再生センターを見学

大変遅ればせの報告になりますが、9月の第3回定例会一般質問では、雨水の活用と推進について質問しました。質問にあたっては、「地下水及び湧水を保全する条例」を制定し、雨水浸透を進めている小金井市を視察したり、雨水ネットワーク全国大会に参加するなど、先進自治体や市民の取り組みを学びました。

自分の屋根に降った雨は地中に戻す

近年の地球温暖化による気候変動や都市化の進展などに伴い、水資源の循環の適正化に取り組むことが課題となり、2014年に雨水の利用の推進に関する法律と水循環基本法が施行されました。国レベルでの雨水の利用と健全な水循環の維持または回復に向けた取り組みが推進されています。

私は、住宅などに雨水タンクを設置して、散水、清掃、打ち水などに利用する、同時に雨水浸透ますで自分の家の屋根に降った雨は地中に戻す、こうした一人ひとりの小さな取り組みでまちの中に小さなダムの機能をつくっていくことで、水害の防止、緩和と地下水の涵養やヒートアイランド現象の緩和など、環境に大きく寄与すると考え、雨水の活用と浸透を推進する立場から質問します。

2005年9月に発生した当区と杉並区を中心とした時間100ミリを超える豪雨は、両区合わせておよそ3,000世帯に浸水被害を及ぼしました。都は、2007年に東京都豪雨対策基本方針を策定。2014年に改定され、当区との関連では、豪雨対策強化流域として神田川流域が、対策強化地区として東中野が指定されています。西の武蔵野市から東の中央区まで2市13区を範囲とする神田川流域の中でも、中野区は区内のほぼ全域が流域にかかっており、流域に占める面積の割合が杉並区、新宿区に次ぐ3番目に大きい自治体で、中野区の豪雨対策が流域全体に与える影響が大きいと言えます。神田川流域自治体の一員としての当区の取り組みについて、1点お聞きします。

東京都は、市民と行政が協働・連携して神田川流域の川づくりを進めていくために、流域の住民、区・市及び都が情報や意見の交換・提案を行うことを目的に、2004年、神田川上流懇談会を設置しました。現在5期目に入っていますが、当区では第1期から行政委員としてかかわっています。

初めに、中野区が委員として出席する意義について伺います。

97%が市街化されている神田川流域

神田川流域は97%が市街化されており、自然地はわずか3%で、雨がしみ込む地面がなく、雨水のほとんどが下水管に入る構造になっています。これを合流式下水道と呼び、23区では8割方この方式が採用されています。晴天時、汚水は全量、水再生センターに送られて処理されますが、一定量を超える雨が降ると下水管からオーバーフローした汚水まじりの雨水が河川に流出し、東京湾を汚しています。こうした現状から、雨水を下水管に入れて流す対策から、生かす、浸透させる対策へのさらなる転換が求められていると考えます。雨水の貯留と浸透の推進について、3点お聞きします。

1点目です。区は、雨水の貯留、浸透の効果についてどのように捉えておられるのか、伺います。

当区では、現在、水害対策として、公共団体が建設する施設、敷地面積300平方メートル以上の大規模民間施設などに、浸透ます、透水性舗装、地下貯留、屋上貯留などの雨水流出抑制施設の設置をお願いしており、その達成率は公共団体が100%、大規模民間施設は約80%と高い設置率になっています。

2点目として、どのような働きかけでこの数字が達成されているのか、伺います。

防災、減災としての雨水浸透・活用

ゲリラ豪雨は、その一帯に降った雨水が一気に下水管に入り、管からあふれた汚水まじりの雨水が河川に流れ込むことで洪水を引き起こします。東京都では、水害対策として神田川、妙正寺川の河川改修、環状七号線などの地下調節池を整備しています。しかし、こうした大規模な事業には時間と整備費、維持管理費がかかり、多大な費用をかけて対策を講じても整備水準を上回る降雨が多発しています。敷地に降った雨を半日、少なくとも二、三時間敷地内に留め置くことができれば、下水管に雨水が入る時間をずらすことができ、水害が軽減できると考えます。

1988年度から2000年度まで、当区では東京都の補助金を受けて雨水流出抑制施設の設置助成を行っていましたが、2000年度の都の補助休止に伴い区の助成事業を廃止しています。東京都の補助金は対象敷地面積を1,000平方メートルから500平方メートル未満に引き下げて2007年度から再開されていますが、区の助成制度は廃止されたままです。小規模施設も含めた民間施設の雨水の貯留・浸透を進めるため、例えば、雨水流出抑制施設の設置助成の再開の検討など、区として積極的に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。

続きまして、雨水の利用について、2点お聞きします。

雨水の利用の推進に関する法律では、その目的に、雨水の利用を推進し、もって水資源の有効な利用を図り、あわせて下水道、河川等への雨水の集中的な流出の抑制に寄与することとあり、雨水の利用の効果が水資源の有効利用だけでなく下水や河川への流出抑制になるとうたっています。雨水の利用について、区としてこれまでどのような取り組みをしてこられたのか、伺います。

家庭における雨水利用の促進には、天水尊のような雨水タンクの設置が有効で、既に設置している区民の方もいらっしゃいます。区としても、例えば、なかのエコポイントの活用など、設置に向けたインセンティブを検討すべきと考えます。区の見解を伺います。

最後に、雨水に関する啓発について、1点お聞きします。

神田川流域上流に位置し、上水道の原水の80%を地下水が占める武蔵野市では、2012年に雨水の地下への浸透及び有効利用の推進に関する条例、通称雨水利活用条例を制定し、2014年に水の学校を開校しています。水の学校は、市民と一緒に暮らしの中の身近な水循環、上下水道の役割から世界規模の水課題など、水についてのさまざまなテーマを取り上げて学び、行動につなげるための講座です。

また、1日約40万トンの地下水を水道水源として利用している多摩地域にある小金井市では、安全でおいしい水を飲み続けるために、2004年に小金井市の地下水及び湧水を保全する条例を制定しています。

2008年には、武蔵野市、小金井市を含む近隣8市の市長によるサミットを開催して、「雨を活かすまちづくり50年の継承」を確認しています。水は、循環という名のとおり、広域にわたりめぐっています。一自治体だけの取り組みで維持・復元できるものではなく、広域的な対応が求められます。そのためには、上流自治体における取り組みを知り、当区での取り組みが他の自治体に与える影響を考えるなど、水循環の中にある一員としての自治体、個人を認識することが重要です。雨水がもたらす環境の恩恵と、都市における水循環の実態とそのリスクについて、広く深く学ぶ区民向けの学習会や雨水タンクや浸透ますの設置相談会などを開催し、雨水の貯留と浸透の推進を図ってはいかがかと考えます。区の見解を伺います。

元国交省の官僚で、現在は九州大学教授の島谷幸宏氏は、ことし4月に発生した熊本地震の際に、大災害時には人工的なインフラは途絶し、身の回りにある自然資本を有効に活用することによって緊急時のレジリエンスを高めることが重要であると感じたとおっしゃっておられます。雨水の活用と浸透はまさに自然資本の活用です。防災、減災のサブシステムとして、また災害時のインフラとして、雨水の活用と浸透に向けた区の積極的な取り組みを要望いたしまして、私の質問を終わります。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 細野議員の御質問にお答えいたします。

雨水の活用と浸透の推進について。神田川上流懇談会出席の意義についてであります。神田川上流懇談会は、神田川流域の住民等から選出された都民委員と、東京都及び中野区をはじめ流域自治体の行政委員により構成され、都民と行政が共通認識に基づき協働・連携して地域に生きた親しめる川づくりを進めるため、東京都が事務局を担って運営をしております。この懇談会について、中野区は流域自治体の一員として、河川にかかわる計画や工事等に関する情報提供や意見交換を行うため、出席しているところであります。

雨水の貯留、浸透の効果について。中野区は東京都をはじめ、流域自治体が合同で策定した神田川流域豪雨対策計画の中で、貯留・浸透施設の整備に向け、目標量として17.2万トン、雨水に換算すると時間5ミリの降雨に相当する分の流出抑制を図ることを目指しており、区として雨水の貯留、浸透の推進は治水対策として効果があると考えております。

雨水流出抑制施設の設置率についてであります。中野区では、敷地面積が300平方メートル以上の民間建築物については、建築主より、建築確認申請に先立ち、雨水流出抑制施設の設置に関する計画書を提出していただいております。この計画書の提出がなく建築確認申請があった場合、職員が雨水流出抑制施設の設置協力を働きかけているため、設置率が高くなっていると考えております。

雨水の貯留、浸透の取り組みの推進について。雨水流出抑制施設の設置助成の再開は考えていませんが、雨水流出抑制施設の設置は治水対策に効果があるため、今後も高い設置率が維持できるよう指導・啓発に努めていきたいと考えております。

私からは以上です。

〔環境部長戸辺眞登壇〕

○環境部長(戸辺眞) 私からは、雨水利用に関する、まず、区の取り組みについてお答えいたします。家庭における雨水の利用につきましては、雨水貯留タンクを設置することで環境面や防災面において一定の効果があると考えてございまして、区のホームページで普及啓発活動を行っているところでございます。また、中野ZERO本館や温暖化対策推進オフィスにおきまして雨水を水洗トイレ洗浄用水に利用しているところでございます。

続きまして、家庭における雨水利用の推進についてでございます。なかのエコポイントにつきましては、これまでCO削減の取り組みに対しポイントを交付するということを基本としてきたところでございますが、第3次中野区環境基本計画アクションプログラムに基づき、現在、区民の参加促進に向けて、環境への貢献について幅広くポイントメニューを設けることなどを含め検討しているところでございます。家庭における雨水利用の促進に向けたインセンティブづくり、こうしたことについてもこの中で検討してまいりたいと考えてございます。

最後に、雨水に関する啓発のあり方ということでございますが、今後とも都市における水循環の課題や取り組みにつきまして情報提供のあり方や啓発の方法も含め、さらに検討してまいりたいと考えてございます。