学習会「国民投票のルールと本質を学ぼう」
今頃? になってしまいましたが、10月に開催した学習会の報告です。
10月15日(日)、中野ネットと豊島ネットの主催で学習会「国民投票の本質とルールを学ぼう」を開催しました。講師はジャーナリストの今井一さん。学習会を企画した後、突然の衆議院解散により、選挙戦まっただ中で当日を迎えました。
「最低投票率を定めない」が世界の主流
最低投票率についてですが、世界では定めていないところが圧倒的に多いそうです。
仮に最低投票率を50%とすると、50%に達しない場合、その問題に関心のないあるいは参加しなかった人たちにその問題の決定権を与えることになってしまいます。「民主主義は、参加しない人に決定権を与えてはいけない」というドイツのみどりの党の主張を例に、最低投票率を設けない考え方についての説明がありました。
では、投票率が低い国民(住民)投票の有効性についてはどう考えるのか? 今井さんは、問題によって影響を受ける人、大きな関心事になる人もいれば、あまり影響がないもの、関心のない人もいるので投票率が低くても構わない、投票の結果が未来永劫続くわけではなく、それで問題があるのであればまた国民(住民)投票を実施すればいいと、とてもシンプルな考え方でした。
テレビCMのルール作りが必要
また、配布された資料(朝日新聞記者が書いたもの)によると、以下のような問題点の指摘があります。
・憲法改正の発議から投票までの60日〜180日という期間が、国民への周知や熟議を尽くすのに短すぎる
・一度に複数の改正案を発議でき、総選挙、参院選と同日投票で行うことができる(争点が拡散し、運動に関するルールが異なる国政選挙と同時実施すると混乱をきたす)
・テレビCMへの制限がほとんどない(改憲・護憲の立場を問わずメディアが大きな役割を果たすことは一致しているが、選挙と違い費用の制限がなく、資金力に恵まれた陣営が優位に立つことなど)
——10月22日の衆議院選挙の結果は、与党が3分の2の議席を獲得。安倍首相が掲げる2020年の改正憲法施行に向けて改憲論議を本格化しています。今井さんは、最低投票率を設けないのが世界の主流だとお話されましたが、これからの国のあり方に大きく影響する憲法改正の国民投票において最低投票率を設けないという考え方については、疑問を感じています。私たち市民一人ひとりが、国民投票についてしっかりと学びあっていくことがまずは必要だと感じました。