ゲリラ豪雨を迎え撃て! 浸水予測システムを使った避難訓練
7月15日(日)、南中野中学校で開催された、世界初の浸水予測システムを利用した避難訓練に参加しました。主催は、東京青年会議所 中野区委員会で、中野区が後援しています。
西日本を中心に甚大な被害をもたらした平成30年7月豪雨は、15日現在、亡くなった方が200名を超え、避難所で生活している方が7,000名を超えています。豪雨被害は私たちが暮らす都市部でも他人事ではありません。なぜなら、都市部は舗装された路面がほとんどで雨が降ると地面に浸透されず下水道に流れ込みますが、23区では8割が合流式下水道のため、オーバーフローした水は河川に流れ込み(汚水混じりで)、ひどい時にはマンホールから吹き上げるように道路に溢れます。地面に浸透できない雨水は、河川の氾濫を招き、舗装された路面を浸水させるからです。
東京オリンピック・パラリンピックを2年後に控え、世界中から人が集まる東京で豪雨災害に対しどのような対策がうてるのか。今回の訓練はそうした視点も見据えたものでした。(今年の酷暑の中で2年後のオリンピック、パラリンピック開催を想像すると、豪雨災害だけでなく、熱中症で倒れる人がでるのではないかと不安が大きくなります)
雨の降り方3つのパターン
訓練の前に行われた、山田正 中央大学教授の「昨今の水害と避難のあり方について」の講演では、雨の降り方には大きく、①台風のような広範囲に降る雨、②1時間に100ミリを超えるようなゲリラ豪雨、③前線を伴う線状降水帯、の3つのパターンがあり、全てのパターンに対して対策をうつとなると莫大な費用がかかるため東京都は、この中のゲリラ豪雨に対する対策を行っているというお話がありました。
早稲田システムと国交省システム、2つの浸水予測システム
今回体験したのは、開発中のタイプが異なる2つのタイプの浸水予測システム。それぞれのシステムはQRコードから各自のスマホにダウンロードしました。予め入力された過去の豪雨データから、南中野中学校付近の浸水予測の状況をまず室内で確認し、その後外に出て避難訓練を行いました。
早稲田システムは5分後、10分後という具合に5分単位での浸水予測が比較的高い精度で画面に展開します。国交省システムは、早稲田システムに比べ30分単位の予測で誤差もある程度あることが前提のものですが、データ入力から10分で計算ができ、精度は粗いものの予測にかかる時間が早いシステムです。
正直、それぞれの違いはよくわかりませんでしたが、実際にゲリラ豪雨に襲われる場合には、浸水しない場所に避難するのに役立つツールになる可能性はあると感じました。ただ、普段から、水害の場合の避難場所を認識しておくことが欠かせないとも感じました。
長期的な対策として、グリーンインフラの推進も必要では
豪雨災害に対しては、短期的には避難のためのツールとしてこのようなシステムの研究、開発も有効だとは思います。でも、こうした対症療法とともに、長期的には、グリーンインフラのような、雨水を地下に浸透させる都市計画のあり方などを同時に考え、雨水を浸透させるまちづくりで浸水を防ぐという視点も必要だと思いました。