市民自治と参加のしくみについて
10月と12月に、元我孫子市長・福嶋浩彦さんのお話を聞く機会がありました。福嶋さんと言えば、1995年に市長に就任してから、常設型の住民投票条例の制定、市民債による自然環境の保全など、市民自治を理念に自治体改革に取り組み、私の中では、市民自治の実践者として真っ先に頭に浮かぶ方です。公約通り3期12年目の2007年に市長を退任しました。
10月、12月どちらのお話にも、市民参加の方法として、無作為抽出による市民の協議会があげられていました。これは、私が7月3日の第2回定例会で質問した内容とかなり重なっています。改めてみなさまにお伝えしたいと思い、質問を区議会会議録から抜粋してご紹介します。
ドイツの市民討議会「プラーヌンクスツェレ」(第2回定例会での一般質問)
私ども中野・生活者ネットワークは、まちづくりの主役は市民であり、暮らしやすいまちをつくるには、市民みずから暮らしやすいまちをつくろうとする人、つまり、自治する人をふやすことが重要だと考え活動しています。市民自治に必要なものは、参加の仕組みであり、参加には情報公開と市民が参加する制度が必要だと訴えてまいりました。
区長は(施政方針説明で)、自治基本条例第3条で保障されている区の政策の企画立案から見直しまでの全ての過程に参加する権利を実効あるものにするために、多様な方も参加できるよう開催方法も工夫していくと述べておられ、私どもも期待するところです。
多様な市民参加の手法の一つに、ドイツで実施されている市民討議会「プラーヌンクスツェレ」があります。無作為抽出で選ばれた市民による討議会のことを言い、日本でも既に多くの自治体で実践されてきています。2007年に多摩市が開催した市民討議会では、これまでのように公募で集まる関心のある市民ばかりでなく、幅広い意見を聞くことができた。また、参加者へのアンケートで、このような市民参画に初めて参加した方の割合が85%であったことから、新しい参画主体となる市民の掘り起こしになったという報告がされています。
細野 そこで、伺います。区の政策や計画、特に今回、区長は新たな基本構想の策定を表明されていますが、ここへの多様な区民参加に当たっては、市民討議会のような、これまで区政にあまり関心を寄せてこなかった方、声を出せずにいる方など、声なき声もすくい上げ、市民自治を育てる視点を持った工夫が必要だと考えます。見解を伺います。
区長 政策立案から政策決定、政策実施、政策評価に至る過程の公開や対話集会の開催方法の見直しなどを行って、これまで区政にあまり関心を寄せてこなかった方や意見を表明していなかった方についても区政に参加していただけるよう工夫してまいりたいと考えております。御指摘のとおり、市民自治を育てるということが極めて重要だと考えております。
細野 多様な区民参加について再質問させていただきます。区長がおっしゃる対話は、区長と区民の対話、区側と区民の対話ということもあるかと思いますけれども、市民自治を育てるという意味では、区民と区民がそれぞれ考え方の違う区民の方同士、時によっては利害関係が違うかもしれない区民の方同士も討議、議論をする中で市民自治が育っていくのではないかと。そういう過程を通じて合意形成をしていくということを市民も学んでいく機会になるのではないかという意図を含めて質問させていただきました。その点について御答弁をお願いいたします。
区長 細野議員の再質問、市民自治について、私、今後、ワークショップなどの形式を取り入れながら、区民の皆さんとの対話集会、タウンミーティングをやっていこうと考えております。その中では、行政と区民が対峙するのではなくて、例えばグループに分かれていろんな意見を持っている方が同じテーブルに座って、そこで意見を言い合うことによって互いの違い、同質性を確認したり、そういう中で議論を進めていくという、そういう形式のものも考えておりますので、まさに今議員の指摘のとおり、市民自治を育むことが重要であると考えております。