使い捨て、便利さがもたらす海洋汚染
5月13日(金)と14日(土)は、中野区からも後援をいただいた「2016 シャボン玉フォーラム in 東京」—水の惑星地球を救え!— 私は13日の基調講演に参加。
東京農大教授・高田秀重さんの「化学物質による海の汚染」のお話では、合成洗剤に含まれる界面活性剤アルキルベンゼン(LAS)は、2013年に水生生物の保全に係る水質目標が設定されたが(毒性を有すること、大量に使われていることを政府も認めたということ)、合流式の下水処理施設では雨天時には処理されずに水域に放流される雨天時越流や、水質目標がLAS本体であるため、毒性を有する分解産物には目標設定がないことなどの問題が指摘された。
また、私たちは今、ペットボトルにして年間一人100本程度とレジ袋300枚に相当するプラスチックを消費しているが、これらのプラスチックは、コップやお弁当の容器など飲食に使用すれば添加剤が直接身体に入り、埋め立てれば有害化学物質が溶け出して地下水や河川を汚染し、海に入れば微細片となって化学物質を遠くまで運び、生物がプラスチックを誤って食べてしまうなど、プラスチックが有害化学物質の曝露源となっているという。
最近よく耳にするようになった「マイクロプラスチック」は5ミリ以下のプラスチックのことで、スクラブ洗顔剤のマイクロビーズやメラミンフォームスポンジ(こすって汚れを落とすスポンジですね)、化学繊維などから供給される。紫外線や波の力で壊れて小さくなっていったもので、砂浜では光と熱でどんどん小片化、微細化が進み、回収は困難。2013年の調査で、海鳥、魚、貝、ウミガメ、クジラ等200種以上の海洋生物がプラスチックを摂取していると報告されている。
こうしたプラスチックによる海洋汚染低減のためは何よりプラスチックを減らすこと。私たちの日々の小さな営みの一つひとつが、とても大きな問題へとつながっていることを自覚して、便利さがもたらす負の側面にも目を向け、使い捨ての生活を変えていく一方で、高田さんのお話にあった、ごみ収集の徹底、有害化学物質が環境へ放出されることのない処分技術の開発や廃棄物管理の仕組みつくり・技術革新の推進も必要だと思う。