“女性への暴力”をなくす—中野駅南口でフラワー遊説

左から、小松久子元都議会議員(杉並)、細野、そね文子杉並区議会議員、西崎みつこ元都議会議員(世田谷)、村上典子前豊島区議会議員

1月10日中野駅南口で、世田谷、豊島、杉並から駆けつけてくれた生活者ネットワークの仲間と一緒に、性暴力の根絶を訴えるフラワー遊説を行ないました。

きっかけは、性暴力事件に対する4件の無罪判決

2019年3月、性暴力事件に対する無罪判決が4件続きました。4件のうち3件はいずれも「女性が、抵抗できたはずなのに抵抗しなかった」というような理由で無罪、残りの1件は、被害自体が認められませんでした。

この判決を不当だとして4月11日、東京でフラワーデモが行われ、その後1年間で全国に広がりました。このデモは多くのメディアに取り上げられ、フラワーデモのきっかけになった4件の無罪判決は、3件が逆転有罪判決になっています。声を上げることで、社会や、政治や、司法を動かしたのです。

生活者ネットワークもこの運動に連帯し、都内各地で毎月11日前後にフラワー遊説を行い、性暴力のない社会の実現を訴えています。

なかったことにされてきた沢山の性被害

DV(配偶者や恋人など親しい関係のある相手への暴力)やセクハラ、性暴力は、声を上げること自体がとても困難です。
内閣府の調査によると、女性の13人に1人、男性の67人に1人が、性暴力被害の経験がありますが、その中の約6割(56.1%)は、そのことを誰にも相談していません。
また、民間団体の調査では、自分の身に起きたことがすぐに「性被害」だと認識するまでに平均6、7年、身近な人に相談するまでに平均で6.5年、専門家や支援機関に相談できるまで平均で16年かかっています。

誰にも相談できないままの性被害、勇気を出して警察に相談しても時効のため裁判にならないなど、これまでなかったことにされてきた沢山の性被害があります。

法律が被害の実態に追いついていない—刑法の改正は110年ぶり

性暴力に関する法律は「刑法性犯罪」です。この刑法性犯罪は2017年6月に改正されていますが、なんと、110年ぶりの改正だったのです。明治の終わり頃の法律がついこの間まで続いていたわけですので、刑法が改正されたと言っても、100年以上続いてきたものは一気に変われません。認識も被害の実態に追いついていません。

法律や社会の意識が、現実に大きく遅れをとっているのが性暴力です。ですから、刑法についてはまだまだ変えるべきところ、2017年の法改正で積み残された課題がいくつもあります。

その一つが「性交同意年齢」です。性交同意年齢とは、性交の同意能力があるとみなされる年齢の下限で、今の法律では13歳です。13歳以上は性暴力被害を受けても死ぬほど抵抗したと認められないと、たとえ未成年であっても「合意」したとみなされ、加害者は罪に問われません。

しかし、文科省の学習指導要領では性行為を扱わないという規定があるため、学校で十分な性教育を受ける機会はほとんどありません。それなのに、13歳になったその日から性行為の同意能力があるとみなされる。これっておかしくないでしょうか。

人権の視点を持った性教育、実態に則した刑法改正を

現在、地方議会から、刑法の再改正を求める意見書が複数提出されています。生活者ネットワークも刑法の見直しに向けた要望書を国に提出しました。

性暴力の被害者に対しては、被害者の服装や言動など、まるで被害者に原因があるかのように言われることがありますが、問われるべきは加害者です。変わるべきは、被害者の声を受け止めてこなかった社会の側です。

性についての正しい知識を得ると同時に、自分と相手を尊重する人権の視点を持った性教育、中学校でのDV予防教育、暴力の連鎖を断つための加害者の再発防止、更生プログラムの実施など、自治体にできることは沢山あります。

国に対しては刑法を被害の実態に即したものに見直していくこと、東京都や中野区に対しては、自治体として対応できることを求めていきます。全ての人の人権が守られ、望まない行為を強要されることのない社会の実現に向けて、私たちも声を上げ続けていきます。