「中野区子どもの権利に関する条例」—ついに実現!

3月25日「中野区子どもの権利に関する条例」が成立。中野・生活者ネットワークが長年求めてきた条例がついに実現し、4月1日から施行されました。コロナ禍の2020年10月の審議会設置から約1年半、全28条の条文には、区が貧困の防止に取り組むことや性自認・性的指向により差別をされないことなども盛り込まれ、今日の課題を反映した条例になっています。

活発な議論がなされた「子どもならではの権利」

前文では、子どもが権利の主体であることがまず述べられ「子どもならではの権利が保障されることも大切です」と謳われています。条例の根幹である「子どもならではの権利」については、審議会で活発で丁寧な議論がなされました。条例策定における特長の一つだと言えます。

審議会では各委員から出された意見が丁寧に受け止められ、その内容が答申に反映されました。例えばある委員からの、失敗する権利があってもいいのではないですかといった意見は、答申では「失敗をしても大丈夫です。失敗してもやり直すことができます」としていかされ、条例では「失敗をしてもやり直せること。そのために必要な環境が整えられること」という条文にまとめられています。

また、学び、遊ぶだけでなく、休む場面における権利の保障や、一人または集団で活動することができる居場所の利用の保障など、多様な子ども一人ひとりに対応した権利保障のあり方が約束されています。

子どもへの意見聴取はさまざまな工夫が

もう一つの特長として、コロナ禍にあっても子どもたちの意見聴取に力を入れたことが挙げられます。学校、国際交流協会の日本語教室、特別支援学校などでの出前授業、児童館や図書館などでの紙によるアンケート、Web、郵送によるものなど、聴取方法、その内容についても工夫がなされました。こうして集められた子どもたちの意見は、答申にはコラム、付属資料として結果の分析とともに掲載されています。

中野・生活者ネットワークは昨年9月、6月に出された答申の読み合わせ会をオンラインで開催しました。印象深いのは、最後に感想を聞いた時、保育園に通うお子さんがいるお母さんが流した涙です。こんなに子どものことを思ってくれる大人がいることへの感謝と、虐待や体罰、いじめの防止などまで書かなればならない子どもたちが置かれた現状への憂いが交錯した涙だと話してくれました。条例はできましたが、ここからが本当のスタートです。条例には子ども会議の開催、推進計画の策定、子どもの権利委員会の設置、権利救済委員の設置などが子どもの権利保障を具現化する方策として掲げられています。今後は、これらが子どもの最善の利益のために機能しているのかを検証し、必要であれば改善のための提案を行っていきたいと思います。