「こども家庭庁」の設立と「こども基本法」

4月1日 「こども家庭庁」設立 「こども基本法」施行

1994年の「子どもの権利条約」の批准から28年、ようやく制定された「こども基本法」が4月1日に施行されました。
「こどもまんなか社会の実現」をめざす「こども家庭庁」設立との同時スタート。
中野区では22年3月に「子どもの権利に関する条例」が、その1年前には東京都の「こども基本条例」がそれぞれ制定、施行されており、子どもの権利に関する条約、法律、条例、全て整いました。

しかし、法律や条例の制定がゴールではありません。今後検証、見直しを繰り返し、子どもを権利の主体として、子どもの最善の利益を考えた子ども施策が推進されることを期待して、こども家庭庁とこども基本法の概要をまとめます。

子ども・子育てをめぐる現状

2022年11月
全世代型社会保障構築会議の論点整理において、「全ての妊産婦・子育て世帯支援」「仕事と子育ての両立支援」が検討課題として提示

2023年1月
こども政策強化の検討加速のため、こども家庭庁発足(4月)を待たず、担当大臣の下、以下の対策の基本的な方向性に沿って具体的なたたき台を取りまとめるよう総理から指示
①児童手当を中心にした経済的支援の強化
②全ての家庭を対象とした保育サービスの充実
③働き方改革の推進、育児休業制度の強化

1月19日、こども政策の強化に関する関係府省会議が発足
上記検討課題について議論、3回の有識者会議を踏まえ3月末を目処にたたき台を取りまとめる
こども・子育て政策の強化について(試案) ~次元の異なる少子化対策の実現に向けて~(3月31日)

「こども家庭庁」の概要

●めざすもの
「こどもまんなか社会の実現」(常に子どもの最善の利益を第一に考え、子どもに関する取組・政策を社会の真ん中に据える社会)に向け、子ども政策に取り組む独立した行政組織。

●基本姿勢
①こども・子育て当事者の視点(意見を政策に反映)
②地方自治体との連携強化
③NPOをはじめとする市民社会との積極的な対話・連携・協働

●組織
総理直属の機関として、内閣部の外局とし、一元的に企画・立案・総合調整
内部組織は、長官官房(企画立案・総合調整部門)、こども成育局、こども支援局の3部門体制。移管する定員を大幅に上回る体制をめざす

●所管事務
各府省から移管される主な事務

・内閣府から
子ども・若者育成支援と子どもの貧困対策、子ども・子育て本部が所掌する事務(少子化対策、認定こども園、児童手当 他)

・厚労省から
子ども家庭局の所管事務として、保育関係、放課後子どもクラブ、虐待防止、母子保健等。
 *障がい児支援に関する事務(これまで「障がい児」については「障がい者支援」として「社会・援護局障害保健福祉部」が所管。今後は、障がい者支援と切り離し、子ども支援として「インクルーシブな支援」を推進していくことがこども家庭庁のミッション)

 移管されない事務
・幼児教育の振興は文科省に残る。
保育所と認定子ども園はこども家庭庁に移管するのでしっかりと連携することが求められる。
・医療は、子どもの医療も含め、厚労省に残る。
・労働者の働く環境整備も厚労省が所管(少子化対策と深く関わるため、連携が重要)

●関連施策の主なスケジュール(以下参照)

「こども基本法のポイント」

●目的(第1条)
「児童の権利に関する条約」の明記、こども施策を総合的に推進

●基本理念(第3条)
・児童の権利条約の4原則の趣旨を踏まえて規定(差別の禁止、生命・生存及び発達に対する権利、児童の意見の尊重、児童の最善の利益)

●基本的施策(第9条〜20条)
・国は「こども施策に関する大綱」を策定、都道府県・市町村は「こども大綱」を踏まえ、こども施策に関する計画を策定。
これは既存の子どもに関する自治体計画(子どもの貧困対策、若者支援、子育て支援、次世代育成支援 等)と一体的に策定できる。ガイドラインを検討
・国や自治体は、子どもの意見を聞くしくみをしっかりと準備する必要がある
・総合的・一体的体制整備、周知、財政措置
・首相を会長とする「こども政策推進会議」を設置、大綱の案の作成、こども施策の重要事項の審議等を行う