資源循環の推進について(第3回定例会一般質問①)

2024年9月10日から10月21日まで開催された中野区議会第3回定例会での、細野かよこの一般質問のご報告です。

第3回定例会で一般質問に立つ細野かよこ

1 資源循環の推進について
(1)リユース食器などの利用促進について
(2)羽毛のリサイクルについて
2 ベンチのあるまちづくりについて
3 介護事業について
4 動物との共生について
5 マイナンバーカードと保険証の一体化について

1 資源循環の推進について

(1)リユース食器などの利用促進について

今や私たちの生活の中で毎日利用されているプラスチック製品ですが、地球規模で環境汚染が進み、プラスチック削減は大命題となっています。世界では、2022年の国連環境総会での決議による、プラスチック汚染をなくすための「プラスチック条約」制定に向けたプロセスが大詰めを迎えています。

当区では、2020年7月に、中野区プラスチック削減指針を策定しました。プラスチック削減指針の行動指針1には、「区が主催または共催するイベントや会議において、使い捨てプラスチック製品・容器包装の使用を可能な限り削減」し、「繰り返し使用できるもの又は紙製品や非木材パルプ製容器等の利用に努める」とあります。

私は今年4月に品川区の環境学習交流施設「エコルとごし」と、隣接する戸越公園で開催された「エコルフェス」に参加しました。キッチンカーでのほとんどの食事がリユース食器で提供されており、食べ終わった容器は紙で拭いてエコステーションまで返却ください、持ち帰り用のレジ袋はないのでマイバッグを持参してくださいと、チラシに予め案内されており、資源を使い捨てにしない効果的な啓発になると感じました。

新型コロナウイルス感染症が5類に移行してから、当区でもイベントの開催が活発になり、対面での会議も増えています。

細野 行動指針にある区が主催または共催するイベントや会議において、使い捨てプラスチック製品・容器包装の使用を可能な限り削減するために、リユース食器や繰り返し利用できる製品での提供を推進する「ごみゼロ」をめざしてはいかがでしょうか。区の見解を伺います。

区長 昨年度はイベントや会議を主催・共催するごぼ全ての部署や施設において、ペットボトルも含め使い捨てプラスチック製品や容器包装を使用せず、繰り返し使用できるもの等を利用した。今後とも、この取組を継続していきたいと考えている。

プラスチック削減指針の策定から4年が経過しました。この間、職員の方へのアンケート調査が2回実施されています。マイボトル、マイバッグの活用についてはかなり進んでいるようですが、昨年10月に行われた2回目のアンケートでは、削減指針について内容まで理解しているのは約3割、名前だけは知っているが約3割、知らないが約3割となっています。

(質問を終えて)区が主催、共催する飲食を伴うイベント等はあまり多くはないようですが、区が率先して使い捨て容器を使用しないごみの出ないイベントなどを開催することで、民間が主催するイベントなどにも普及するよう取り組んでいきたいと思います。

細野 プラスチック削減指針の職員の方々への周知を今一度徹底し、区全体で行動指針の実効性をさらに高めていただきたいと考えます。見解を伺います。

区長 プラスチック削減については、行動指針に基づいた取組が各職場で着実に進んでいる一方、職員一人ひとりへの浸透は必ずしも十分でないことがアンケートで判明した。ペットボトル等、プラスチック使用削減については、先月実施した全庁管理職研修の素材としたほか、本庁各階へのウォーターサーバーのセッツ・普及、またEMS(環境マネジメントシステム)における職員個人に着目した運用変更などにより、意識と行動の変容を迫っている。くない最大級の事業者「中野区」の職員の働き方・過ごし方が環境配慮の面で他の模範となるよう徹底していく。

(2)羽毛のリサイクルについて

これからしばらくすると、軽くて暖かい天然素材のダウンジャケットや羽毛ふとんを使う季節になります。羽毛は、水鳥1羽から約10グラムしか採取できない貴重な資源で、ダウンジャケットで10羽、羽毛ふとんでは100羽以上の水鳥が必要とされます。羽毛は、食肉の副産物としてしか使用ができず、近年では食肉生産のコストダウンのために飼育日数を短くしていて、品質の低下が進んでいます。また、鳥インフルエンザなどの影響もあり、良質な新毛は量が減っています。高品質な羽毛を将来にわたって残していくためには、羽毛のリサイクルは必然となっています。
西東京市では2014年から羽毛ふとんを資源として回収しています。杉並区でも昨年10月から、羽毛ふとんを回収してリサイクルする取り組みを始めました。

細野 当区では現在、羽毛ふとんは粗大ごみとして回収し、焼却処分されています。直近2年の粗大ごみのうち、最も件数が多いのがふとんで、22年度が33,697件、23年度が31,261件です。この中で羽毛ふとんの割合まではわからないということですが、一定数あることは想像できます。先行自治体の事例を参考にして、貴重な資源である羽毛ふとんを、現在の焼却処分からリサイクルへと転換を図ってはいかがでしょうか。

区長 不毛は貴重な資源であり、リサイクルする過程で洗浄することにより、さらに上質な不毛に再生できると認識している。収集した粗大ごみは可能な限り資源化しているが、不毛布団を資源化するためには、再生処理工場に運搬するするまでの間、保管するためのストックヤードが必要となるなどの課題がある。これらの確保を含め、今後の羽毛ふとんのリサイクルについて引き続き検討していく。

羽毛ふとんのリサイクルについては、民間の取組として「Green Down Project」があります。回収拠点として協力している店舗に集まった、不要になった羽毛ふとんをリサイクル工場に送って再生させるプロジェクトです。私は今年1月、三重県にあるリサイクル工場を見学しました。羽毛は、適切な処理をすれば100年以上繰り返し使えると言われているそうで、厳しい品質基準のもとでリサイクルされた羽毛は新毛よりも品質が良く、アレルギーの心配もほとんどありません。リサイクルされたダウンも触らせていただきましたが、とてもきれいで、においは全くありませんでした。

他にも、社会福祉協議会との連携で募金活動や障がい者の雇用促進につながる「UMOUプロジェクト」やハートステーションプロジェクトなど参考になる取組があります。

細野 まずは、環境イベントなどで羽毛リサイクルの啓発、リサイクルに取り組む活動の紹介を行い、羽毛リサイクルへの関心を喚起していただきたいと考えます。区の見解を伺います。

区長 不毛布団やダウンジャケットなどの羽毛製品が、メーカーや販売店等の取組により、リサイクルが進むことは望ましいことである。区民が民間企業のこのような取組に協力し、羽毛のリサイクルが促進されることは、資源の有効活用やごみの減量につながる。今後、エコフェア等の環境イベント等の機会を活用し、民間企業等とも連携を図りつつ、羽毛を含めたリサイクルの促進について広く区民に周知していきたい。

三重県にある羽毛のリサイクル工場を視察。手にしているのは再生されたふわふわの羽毛です(2024年1月23日)