ベンチのあるまちづくり/介護事業について(第3回定例会一般質問②)
2024年9月10日から10月21日まで開催された中野区議会第3回定例会での、細野かよこの一般質問のご報告です。
1 資源循環の推進について
(1)リユース食器などの利用促進について
(2)羽毛のリサイクルについて
2 ベンチのあるまちづくりについて
3 介護事業について
4 動物との共生について
5 マイナンバーカードと保険証の一体化について
ベンチのあるまちづくりについて
中野・生活者ネットワークは毎年、環境や福祉、食の安全に関わる区内の団体とともに、区民の方からの区政に対するさまざまな提案を受け、区への要望につなげています。その中に「まちにベンチがほしい」という要望がこれまで度々寄せられており、昨年4月から区民の方と一緒にまち歩きをしながら、現在どんな場所にベンチがあるか、どんな場所にベンチがあったらいいのかを調べており、現在も進行中です。まち歩きの成果として、住宅の前にちょっと休める椅子やベンチのようなものを置いている場所が何か所かあることが確認できました。特にベンチがあったらいい場所として、病院付近のバス停、階段のおどり場や坂道をのぼったところ、木陰にベンチがあったらいいねなどさまざま意見が出ました。区議会でも、同じ会派の山本議員、他複数の議員の方がベンチの設置について質問されており、要望が多いことがわかります。
7月22日の新聞に、『「街にベンチを」声届く』の見出しがありました。新聞社に声を届けたのは中野区在住の40代女性で、「妊娠中や、子どもの抱っこに疲れた時に座って休みたかった」と、まちにベンチがなく困った経験を投稿されています。まちなかのベンチは、高齢者だけでなく子育て世代などすべての人が休める場所として、まちづくりの大切な要素の一つだと思います。新聞記事では区の担当者のコメントとして「ベンチがほしいとの声はあるが、歩道の幅が足りない」と紹介されています。
細野 コメントにあるように、当区における既存の区道へのベンチ設置については、歩道が狭く、通行スペースの確保が難しいことが課題ですが、区が取り組んでいるスマートウエルネスシティの歩きたくなるまちづくりと親和性が高いと考えます。また、中野区都市計画マスタープランには、都市整備の基本理念として、誰もが居心地良く歩ける、歩きたくなるようなウォーカブルなまちづくりを進めることが示されています。ウォーカブルなまちづくりにおいて、ベンチのようなちょっと一息つける座れる場所の確保は欠かせないものだと考えます。区はベンチの設置についてどのように認識されているのか伺います。
区長 歩行者が気軽に腰をかけられるベンチの設置は、ウォーカブルなまちづくりを推進していくうえで効果的な取組の一つであると認識している。今後進められるまちづくりの中で、関係所管部署と連携しながら、ベンチや歩行者が気軽に座れる場所の確保についても検討していきたい。
先述の新聞記事によると、23区中10区がベンチの設置事業に取り組んでいます。世田谷区、杉並区では、民有地へのベンチ設置に対する補助を行なっています。
細野 歩道へのベンチ設置に課題がある当区においてウォーカブルなまちづくりを進めるには、区道への設置だけでなく、世田谷区や杉並区の取組のように、商店街や区民の方からの提案に応じて民有地にベンチを設置するなど、区道以外のベンチ設置の手法について検討を進めていただきたいと考えますがいかがでしょうか。伺って次の質問に移ります。
区長 区道以外においても、都道を所管する東京都にも働きかけを行うなど、歩行者空間におけるベンチの設置について取り組んでいきたい。また、民有地へのベンチの設置については、他自治体の取組等も参考にしながら検討を進めていきたい。
介護事業について
介護人材の確保について
介護人材の不足については改めて申し上げるまでもなく、介護事業における深刻な課題となっています。喫緊の課題である介護人材の確保に関連して「中野区介護に関する入門的研修」について2点伺います。
入門的研修は、訪問型緩和基準サービスの担い手養成を目的とした旧中野区認定ヘルパー養成研修が、業種を問わない介護人材の裾野を広げるための研修として移行したものです。
入門的研修は現在、年2回開催されており、4日間の全日程を受講すると区から修了証が交付されます。最終日には区内の介護事業所が参加するおしごと相談会が開催され、23年度は62名が受講し、11名が就職につながったと聞いています。
細野 入門的研修の修了者ができる仕事は、訪問型の場合は、基本チェックリスト対象者向けの緩和基準サービスに限られますが、そもそも緩和基準サービスを提供している事業所も事業実績も少ないのが現状です。就職先を通所型、施設系の事業所に広げることで、就労につながる研修修了者が増えるのではないでしょうか。研修修了者と通所型、施設系事業者のマッチングの強化に取り組んでいただくことを求めます。
区長 介護に関する入門的研修修了者が、訪問介護員として従事する場合は、さらなる研修受講が必要であるが、通所・居住・施設系サービスの介護であれば従事は可能となっている。研修最終日には、通所・居住・施設系を含む区内介護事業所が参加するおしごと相談会を開催しており、就労に対する心理的なハードルを下げ、うまくマッチングできるよう適切に支援していく。
細野 介護人材の確保は待ったなしの状態です。就職につながらなかった研修修了者へのフォローアップ、介護の仕事の魅力発信など、危機感を持って人材確保につながる施策に取り組んでいただきたいと考えます。区の見解を伺います。
区長 入門的研修修了者に対しては、区内事業所との相談会後のフォローとして、東京都福祉人材センターへの登録勧奨などを行なっており、介護未経験者の雇用につながるよう取り組んでいる。団塊世代全員が後期高齢者となる2025年を目前に、介護人材確保の喫緊の課題である。介護の仕事に触れる機会の創出や定着に向けた支援など、介護サービス事業所連絡会と協力しながら、人材確保に向けた取組を行なっていく。
障害福祉サービスに関する研修について
次に、介護保険と障害福祉サービスのケアプラン作成について伺います。
障害福祉サービスを利用している方が65歳になると、障害福祉サービスに類似する介護保険サービスがある場合は原則介護保険サービスが優先されます。共通のサービス部分を介護保険がカバーし、支給限度額を超える場合の上乗せや障害福祉独自サービスの横出しで、障害福祉サービスが提供されます。このように介護保険サービスと障害福祉サービスを併給する場合、ケアマネージャーがケアプランを作成しますが、専門的な障がい福祉サービスのケアプラン作成は負担となっていると聞いています。
細野 ケアマネージャー不足も深刻な中で、業務量の多さや資格更新など負担が増えているケアマネージャーの方々にかかる負荷を少しでも軽減し、利用者が安心して在宅生活を継続するためにも、障害福祉サービスについての研修の拡充が必要ではないでしょうか。
区長 障害福祉サービス、介護保険サービス間の意向や供給に当たっては、介護支援専門員や障害者相談支援専門員の正しい知識と適切なマネジメントが必要であり、今後も支援関係者を対象とした研修の充実とともに、関係機関に連携を深めていく。