動物との共生/紙の保険証の廃止について(第3回定例会一般質問③)
2024年9月10日から10月21日まで開催された中野区議会第3回定例会での、細野かよこの一般質問のご報告です。
1 資源循環の推進について
(1)リユース食器などの利用促進について
(2)羽毛のリサイクルについて
2 ベンチのあるまちづくりについて
3 介護事業について
4 動物との共生について
5 マイナンバーカードと保険証の一体化について
動物との共生について
地域猫共生推進員制度について
地域における飼い主のいない猫対策活動を推進するために、個人ボランティアに助成を行う「地域猫共生推進員制度」の導入から1年が経過しました。本活動が区内全域に展開され、飼い主のいない猫に対する苦情がなくなり、動物と人との共生社会が実現するよう、推進員制度について質問します。
細野 初めに、昨年度と今年度現在の地域猫共生推進員数、昨年度の登録管理猫頭数、不妊去勢手術頭数について伺います。
区長 2023年度の地域猫共生推進員数は15名、2024年8月末現在の推進員数は18名である。2023年度に登録管理した頭数は47頭、不妊去勢手術した頭数は3頭である。
推進員の方からは、申請書、活動場所の地図や対象猫の一覧、写真、実施申請書、完了届、活動報告書など、書類作成が煩雑と聞いています。特に、飼い主のいない猫なので近づいて写真を撮ろうとすると逃げてしまい、写真の添付が難しいそうです。
細野 推進員の方々の活動の継続のために、こうした手続きや書類について簡素化できるものはありますか。また、メール等での報告が苦手な方などに対しての対応も必要だと考えますがいかがでしょうか。
区長 地域猫共生推進員の更新登録については、申請時に写真の貼付を省くなど、手続きを簡素化できるよう検討していく。書類作成やメールによる送付などについては、手続きが円滑に進むように、推進員に対し個別支援を行なっていく。
細野 不妊去勢手術の協力病院は現在、区内に13か所あります。しかし、私も経験があるのですが、捕獲が予定通りできるとは限らずキャンセルする場合もあり、手術の日程には幅を持たせる必要があると考えます。健康状態が良くない猫もいます。通常の診療を行いながら、このようなケースに柔軟な対応をするのは病院にとっても容易ではないと想像します。また、場所によっては区内の病院に行くより隣接区の病院の方が利便性が良い場合もあり、推進員の方からは現在の病院数では不妊去勢手術数などに対応できていないとの声があります。こうした声にどのように応えていくのか伺います。
区長 地域猫共生推進員の活動範囲の協力病院だけでなく、区内全域の協力動物病院を活用していただけるよう、不妊去勢手術の際の交通費など移送支援について検討していく。
細野 地域猫共生推進員制度の導入から2年目に入りました。スタートしたばかりではありますが、現在課題として捉えていること、課題に対してどのように取り組んでいくのか伺います。
区長 地域猫共生推進員と区との意見交換会を実施しており、その中では、制度導入からまだ日が浅いため、地域猫共生推進員同士のネットワークづくりが課題との意見が出されている。このため、現在、推進員同士のネットワークづくりの支援に取り組み始めているところである。
飼育継続が困難な場合について
この項の最後に、飼育継続が困難な場合などの対応について伺います。地域包括支援センターには、独居高齢者の方が入院や施設入所などで飼っていた動物の世話が出来なくなったという相談があり、預け先が確保できない場合には、日常のサービスを提供している介護支援者や近所の人などが対応する事例があると聞いています。一方で、動物の飼育を理由に、入院治療や施設入所が必要な状態であるにも関わらず躊躇する事例もあるとのことです。私も同様なご相談を、近隣区で保護猫活動をする方から中野区の事例として受けたことがあります。
こうした飼育の継続が困難になった場合や多頭飼育崩壊については、これまで河合りな議員も何度か質問しており、問題を繰り返さないためにも飼い主の責任の範疇にとどめるのではなく、地域の課題として捉え、福祉的視点を持った対応と関係機関の連携を求めてきました。
細野 今後、独居高齢者が増加する予測の中、このような事例は増えていくと思われます。入院や入所が長引く場合には、介護支援者や近所の方などがボランティアで動物のお世話をすることには限界があります。飼育継続の困難事例や多頭飼育崩壊の未然防止、早期発見の態勢の強化が必要ではないでしょうか。
区長 地域包括支援センターなどの高齢者相談窓口には、ペットの飼育継続困難に関する相談も寄せられており、預け先や動物支援団体などの情報提供を行うとともに、関係機関との連携により対応している。今後も保健所などとの連携を密にし、当事者や支援機関に対してペットの飼育が困難となる前の予防的な働きかけを行なっていく。
東京都では「地域における動物の相談支援体制の整備事業」助成が2020年から開始されています。健康上の理由等で飼い主が飼育を継続することが困難となった場合などに、身近な地域で相談や支援が受けられる体制づくりに取り組む区市町村を支援する事業です。厳しい補助要件がありますが、こうした事業助成も視野に入れながら、動物と人との共生社会の実現をめざしていただくことを要望します。
マイナンバーカードと保険証の一体化について
2023年6月にマイナンバー法等の一部改正法が成立し、マイナンバーカードと健康保険証の一体化の方針が決定しました。併せて健康保険証を廃止し、マイナンバーカードでオンライン資格確認ができない人に対しては資格確認書を発行することになりました。5月から6月にかけて行われた健康保険証廃止に伴う省令改正へのパブリックコメントには、5万件を超える意見が寄せられており関心が高いことがわかります。
一方で、健康保険証廃止の12月2日が迫っていますが、区民の方々とお話すると、12月2日以降も現行の保険証が有効期限まで使用できること、マイナ保険証を持っていない人には、保険証の有効期限が切れる前に保険者から自動的に資格確認書が送られてくることなど、制度の詳細についての周知が十分ではないと感じます。
細野 マイナ保険証を利用しなくても医療を受けられることのわかりやすい周知についての区の認識と、どのように周知するのか伺います。
区長 2024年12月2日以降、 マイナ保険証を持たない方には、「資格確認書」で医療を受けられることなど、制度の変更点を丁寧に説明していく必要があると認識している。 これまで、国民健康保険・後期高齢者医療保険の加入者に対しては、保険証更新や納入通知書等を送付する際に、マイナ保険証の一体化に関するチラシを同封するなど、複数回の個別周知を行ってきた。 今後も区報への掲載のほか、区ホームページにより詳細な説明やよくある質問を掲載するなど、よりわかりやすい周知を図っていく。
マイナンバーカードの保有枚数は、総務省によると7月31日現在で約9,308万件、マイナ保険証の有効登録数は、厚生労働省によると約7,451万件で、有効登録率は約8割です。しかし、マイナ保険証の利用率は、11.13%となっています。理由はさまざまでしょうが、マイナ保険証の使用に何らかの躊躇があるのだと思われます。
細野 10月からは利用登録解除手続きが開始します。マイナ保険証の利用に不安がある人などには登録解除の選択肢があることの周知も大切です。区はいつ頃、どのような方法で情報提供、手続きを行うのか伺います。
区長 マイナ保険証の利用登録の解除を希望する場合には、加入する医療保険者に対して申請が必要となる。中野区国民健康保険では、10月28日から利用登録の解除を受け付ける予定である旨、区報やホームページで周知していく。後期高齢者医療保険については、保険者である東京都後期高齢者医療広域連合から詳細が示されておらず、現時点では不明である。