「罪に問われた障がい者」の支援を考えるシンポジウム

2016年8月12日 01時18分 | カテゴリー: 活動報告

シンポジウム会場で村木厚子さんと

シンポジウム会場で村木厚子さんと

2009年に郵便不正事件で逮捕され、取り調べ、勾留、裁判を経験し、2010年に無罪が確定した前厚生労働事務次官・村木厚子さんは、国家賠償請求で得たお金で「共生社会を創る愛の基金」を立ち上げ、罪を犯した障がい者の支援を続けています。

7月31日(日)、愛の基金が主催する「「罪に問われた障がい者」の支援—新たな制度展開と多様な草の根の取組み—のシンポジウムに行ってきました。2010年の法務省資料によると、刑務所にいる受刑者の4分の1が知的障がい者で、出所しても全体の7割が1年未満で再犯を犯しているという結果があります。村木さんはご自身の経験から、障がいがある人たちは取り調べできちんと言い分が言えているのだろうか、障がいが理解されていないために間違った受け止め方をされてはいないだろうかと不安になり、そんな人たちを支援するために愛の基金を創って、支援のための調査研究事業、先駆的な取組みへの助成事業、広報・啓発活動などを行っています。

シンポジウムのセッションでは、評論家の荻上チキさんを司会に、実際に出所者を雇用している経営者の方やNPO法人の実践をお聞きました。荻上さんは、犯罪が凶悪化、増加しているように思われているが、一般刑法犯は10年前から減少傾向にあり、少年院の統廃合が進んでいる。また、保護観察が終わった後に再犯率が高いことから、人と繋がることで再犯を防ぐ確立が高いなど、データを正しく読み解くことが重要だと発言されていました。

出所者の働く場を創っている実践では、自分の妹を殺され、犯罪被害者の家族でもある日之出グループの草刈社長が、事件から1年くらいは犯人を憎むことしか考えられなかったが、犯罪をなくしていくことが、自分のような思いをする人をなくしていくことになるのではないかと、出所者を自分の会社や友人の会社で受け入れているお話をされました。草刈社長は、若い男性出所者にとっては兄のような存在のように感じましたが、こうした境地に達するまでには何度も葛藤があったのではないかと想像します。

村木さんが事件の後、このような活動を続けておられることを知りませんでしたし、受刑者の中で障がい者が占める割合が4分の1あることも知りませんでした。困っている人たちを目の前にした時に、「大変ですね」と気持ちを共有したり、事件の社会的、家庭的な背景を評論家のように語るだけでなく、必要なのは具体的な支援であることの重要性を痛感したシンポジウムでした。