障がい者支援、遊ぶ権利の保障、ジェンダー統計について一般質問
2026年第2回定例会(6月29日〜7月16日)での一般質問
1、ライフステージに応じた障がい者支援について
2、遊ぶ権利としての子どもの居場所の重要性について
3、男女共同参画政策にいかすジェンダー統計について
答弁は後日ご報告します。
ライフステージに応じた障がい者支援について
障がいがあっても、どこに住むのか、どのような生活を送るのかを、自ら選択し決定できる社会の実現は、障害者権利条約を批准した日本が目指すべき姿です。区でも中野区障害者計画において、障害のある人が自らの決定に基づき社会活動に参加し、自己実現を図ることができるよう支援することを基本理念として掲げています。こうした理念を実際の暮らしの中で実現していくためには、それぞれのライフステージに応じた切れ目のない支援が必要です。一方で、障がい者支援は、障がい特性などに応じた細やかな対応が求められ、そのニーズは多岐にわたっています。
酒井区長は障がい者支援に関して、施政方針説明の中で「18歳以降も切れ目のない支援の充実に取り組み、ライフステージを通じた支援体制を構築してまいります」と述べておられます。障がい者支援の内容は多岐にわたっています。どのような優先順位で進めていかれるのか、区の考え方と重点的に推進する事業について伺います。
障害福祉サービスは、障害者総合支援法によって支援内容が定められています。支援法は、介護保険と同様な給付決定のしくみに準拠しており、そのサービスは大きく二つに分けられます。認定審査によって全国共通の基準で提供される「自立支援給付」と、各区市町村が独自に実施する「地域生活支援事業」です。
地域生活支援事業は、サービスの内容、負担のあり方などが自治体によって異なっており、格差も生じています。地域生活支援事業から、移動支援事業、日常生活用具給付等事業について伺います。
移動支援事業では2点伺います。1点目、報酬単価についてです。区内事業者の中には、移動支援は赤字部門ですとおっしゃる方もおられます。当区の報酬単価は現在、第4ブロックにおいては豊島区、板橋区、練馬区とは同程度ですが、隣の杉並区は当区よりも高い報酬が設定されています。新宿区のように、独自に処遇改善加算をつけている隣接区もあります。
障がい福祉分野においても人材確保が困難な状況の中で、近隣区との報酬単価に差があると、人材が区外に流れてしまう要因になります。移動支援における報酬単価について、見直しの検討が必要だと考えます。区の現状の取組と今後の方向性について伺います。
移動支援事業の2点目として、グループでの支援について伺います。区では現在、1体1の個別支援を対象としています。しかし、グループホームでは地域イベントへの参加など、複数の利用者が同時に外出する機会があり、グループ支援に対する要望もいただいています。西東京市では昨年7月から、身体介護なしの1対2、1対3のグループ支援に対し加算を設定しています。先日開催された健康福祉審議会障害部会では、西東京市の事例は事業者にとって大変助かっているという発言も聞かれました。
移動支援の利用者数、利用時間は増加傾向にあり、サービス量の確保が課題になっています。移動支援事業において、グループ支援も対象にすることを検討してはいかがでしょうか。
障がいのある人の「行きたい場所に、いつでも行ける」を当たり前にするためにも、移動支援事業の拡充を求めます。
次に、日常生活用具給付等事業について伺います。冒頭に述べましたように、どこに住み、どのように生活するのかを本人が自己選択できるためには、選択肢が多くあることも必要ですが、本人が必要な情報を取得でき、周りと意思疎通できることも前提として重要です。
八王子市では25年11月から、情報・意思疎通支援用具として、新たにスマートフォンを追加しました。音声で信号や点字ブロックの状況を伝えたり、音声を文字に変換してコミュニケーションを支援するスマホアプリなどに対応するもので、都内自治体では先駆的な取り組みです。
以前、視覚障がい者向けの総合イベント「サイトワールド」に参加した際に、歩行ナビゲーションデバイスの「アシラセ」を体験しました。アシラセは、スマホのアプリに行き先を設定しておくと、振動を利用して歩行を支援する装置で、靴に装着して利用します。杉並区と足立区では、こうした視覚障がい者用移動支援デバイスが、日常生活用具の給付対象となっています。デジタル技術を積極的に利用することは、福祉分野における人材不足が深刻な状況の中、障がい者のQOLの向上に有効な手段の一つだと考えます。
障がいのある方が時代にあった技術を享受できるよう、日常生活用具の給付対象拡充が必要ではないかと考えます。区の見解を伺います。
地域生活支援事業は、自治体の創意工夫で柔軟に実施できる制度とされています。しかし、現状では、サービスを充実させるほど自治体の財政負担が増える構造となっています。自治体の創意工夫を後押しするためにも、サービスの充実が財政負担につながる現行の仕組みは、制度上の課題ではないでしょうか。
地域生活支援事業におけるサービスの充実と財政負担の在り方について、区の認識を伺います。
次に、親なきあとを見据えた支援の取組について伺います。障がいのある方やその家族にとって、親なきあとの問題は将来への不安であるだけでなく、親が元気なうちからどのような準備を進め、本人が地域で安心して暮らしていくかという、現在にもつながる重要な課題です。当区でも当事者団体の方々が自主的に学習会などを開催されており、関心の高さがうかがえます。
別府市では、親なきあとの課題に総合的に取り組むための検討委員会を設置し、2年間にわたる検討を経て施策を展開しています。障がい特性や支援方法を関係者で共有する「ステップブック」の作成・活用、障害者週間における親亡き後フォーラムや相談会の開催、理解促進のための動画配信など、本人や家族を支える様々な取組が進められています。
当区においても、親なきあとを見据えた支援の取組を本格的に検討すべき時期に来ていると考えます。まずは当事者や当事者団体等へのアンケートを実施するなど課題を把握し、包括的な施策の検討を始めてはいかがでしょうか。
現在区では、中野区障害者計画の改定に向けた検討が進められています。現行計画では、親なきあとについては、課題の記載に留まっています。計画改定を機に、親なきあとを見据えた具体的な施策を次期計画に位置付け、計画的に取り組むべきと考えます。区の見解を伺います。
遊ぶ権利としての子どもの居場所の重要性について
「国際遊びの日」の6月11日、子どもの遊ぶ環境の充実をめざす「日本『遊ぶ』協議会」が設立されました。子どもの権利条約には「遊ぶ権利」が明記されていますが、こども基本法には盛り込まれず、その認知度も高いとは言えません。そこで、子どもにとって遊ぶことの価値を社会全体で捉え直そうと立ち上がった団体です。
呼びかけ団体の一つ「TOKYO PLAY」代表の嶋村仁志さんは、「遊ぶことは、子どもの本能の営みであり、遊びの中に体験があり、居場所がある」と語っています。私ども生活者ネットワークの仲間も子どもにとっての遊びの大切さから、上高田台公園において、子どもの「やりたい」を応援する遊び場「プレーパーク」を地域の方と一緒に立ち上げ、20年以上にわたって運営しています。
現在、区内各地域で区民の方々によるプレーパークが開催されています。昨年には江古田の森に区立の常設プレーパークが開設され、今年度からは移動型プレーパークも始まりました。中野区子どもの権利に関する条例に掲げられた「遊ぶ権利」が、形になってきていると感じています。
遊びは単なる余暇ではなく、子どもが人とつながり、自分らしく過ごせる居場所そのものでもあります。遊ぶ環境の整備が進む中野区ですが、子どもにとっての「遊ぶ」の意義をどう捉えるかによって、居場所のあり方も変わってきます。区は、子どもにとっての「遊ぶ」をどのように考えているのか伺います。
5月に、嶋村さんのお話をお聞きする機会がありました。子どもは遊ぶことでウェルビーイングの要素である、からだ、こころ、人間関係のすべてを自ら整えていく力を持っている、という言葉が印象に残りました。また、海外では子どもの遊ぶ環境の整備を政策として推進している事例も紹介されました。遊ぶことは、子どもにとって生きることそのものであると改めて感じました。
遊ぶ環境を保障するためには、地域の大人が遊ぶことの価値を理解することも重要です。世田谷区では、外遊びの大切さを伝え、地域の人や団体をつなぐ役割を担う外遊びの専門家「外遊び推進員」を配置しています。当区においても、こうした人材の配置や、子育て支援情報の発信において、遊び場の紹介だけでなく、遊ぶことの意義や効果についても広く普及啓発をしていただきたいと考えます。区の見解を伺います。
2023年12月に閣議決定された「こどもの居場所づくりに関する指針」では、居場所とは、子ども自身が決めるものであり、第三者が中心となって行われる「居場所づくり」との間には隔たりがあると指摘しています。隔たりを埋めるために居場所づくりを進める上で重要なのは、こどもの視点に立ち、こどもの声を聴きながら居場所を作っていくことである、とあります。
区では、プレーパークや児童館、公園整備など様々な場面で、子どもの意見を聴く取組を進めています。一方で、子どもが用意された場で意見を述べるだけでなく、子どもが実際に居場所としている場所に出向いて声を聴くなど、さらなる工夫が必要ではないでしょうか。今後の、子どもの意見表明と参加の取組について伺います。
近年の猛暑は、子どもから外遊びの機会を奪っていると言っても過言ではありません。子どもの育ちに欠かせない外遊びの環境をどう確保していくのか、私たち大人は真剣に考える必要があります。緑陰の確保や日影づくり、ヒートアイランド対策など、暑さに強いまちづくりの視点も含めた取組が求められます。酷暑の時代における外遊びの環境確保について、区はどのように取り組んでいくのか伺います。
この項の最後に、災害時の子どもの居場所づくりについて伺います。2011年の東日本大震災では、多くの団体が子どもの居場所づくりに取り組み、「災害時の子どもの居場所元年」とも言われました。その後も熊本地震や能登半島地震などの経験を通じて、災害時の子どもの居場所のあり方や、子どもへの影響について調査研究が進められています。こうした知見や現場の教訓を、今後の災害対応に生かしていくことが重要です。
調査研究から、災害時の子どもの居場所は、遊びや学習などの日常を取り戻し、心身の回復を支え、レジリエンスを強化することで子どもの権利を守る、重要な場であることが明らかになっています。また、内閣府の「避難所運営ガイドライン」では、子どもの権利保障の観点からキッズスペースの設置を推奨しており、当区の避難所運営マニュアルには、子どもプレイスペース(遊び場)が位置づけられています。
災害時の子どもの居場所に対する区の認識と、現在どのような取組を進めているのか伺います。
災害時の子どもの居場所は、災害が起きてからマニュアルだけで整えられるものではありません。東洋大学の調査では、プログラムの充実以上に、一人ひとりの子どもに丁寧に寄り添える環境づくりが重要であることが示されています。そのためには、平時から地域全体で災害時の子どもの居場所の意義を共有し、備えておくことが必要です。
こども家庭庁は、「災害時のこどもの居場所づくり」に関する手引きや研修資料、調査研究報告、実践事例などを公開しています。平時からの備えや地域での理解を深めるうえで、大変参考になる内容です。子どもに関わる団体や地域防災に携わる方々が、平時からこうした資料を活用し、災害時の子どもの居場所づくりについて学べるよう、区として周知・活用を働きかけてはいかがでしょうか。
災害時の子どもの居場所は、子どもの権利を守るためのインフラです。区としてしっかりと取り組んでいただくことを要望しまして、次の質問に移ります。
男女共同参画政策にいかすジェンダー統計について
私はこれまで、議会でジェンダー平等の実現に向けてさまざまな提案をしてまいりました。今回取り上げますジェンダー統計は、実効性ある施策を進めるための基礎となる情報です。ジェンダー平等施策を着実に進める上で重要なものと考え、質問いたします。
ジェンダー統計とは何か。国連では、「生活のあらゆる分野における女性と男性の差異や不平等を適切に反映した統計」と定義しています。ジェンダー統計を活用することで、男女共同参画計画の進捗を客観的に評価できるほか、証拠に基づく政策立案や、男女間の格差や差別の是正につなげることができます。
ジェンダー統計には、女性議員や女性管理職の割合など、男女別に集計することで実態が見えるものが数多くあります。一方で、家族の形や暮らし方が多様化する現在では、男女別の集計だけでは実態を十分に把握できない場合もあります。また、調査項目や分類の仕方によって、見えてくる課題も変わってきます。
2000年以降、自治体では申請書等の性別欄を見直す動きが進み、中野区でも26の書類で性別欄の削除が行われています。私も不要な性別欄の削除には賛成ですが、ジェンダー統計に必要なデータまで失われることがないよう、判断基準を明確にしておくことが必要だと考えます。
性別記載欄を削除する場合の考え方と、その考え方が庁内でどのように共有されているのか伺います。
京都大学の研究グループが実施した、学校でのAED使用状況の調査では、高校生になると女子への使用率が男子より低いことが明らかになりました。研究グループは、女性の服を脱がせることへの抵抗感から、使用率に男女差が出ているのではないかと分析しています。この結果を受け、女性へのAED使用をためらわないよう、服を脱がさなくても使用できることなど普及啓発を進めている自治体があります。性別による違いを把握することで課題が見え、具体的な施策につながった好例です。
区でも計画の策定や改定などにあたり各種調査を実施しています。しかし、例えば、主な介護者を「配偶者」「子の配偶者」と分類するだけでは、妻なのか夫なのかが分からず、介護の実態や男女の役割分担を十分に把握することはできません。調査項目を工夫し、ジェンダーの視点で実態を把握することが、より効果的な政策につながると考えます。
ジェンダー統計の観点から見た区の各種調査の現状と、今後、調査項目や調査方法にジェンダー統計の視点をどのように取り入れていく考えなのか、あわせてジェンダー統計の重要性について区の見解を伺います。
内閣府は2022年、男女間格差を把握するため男女別データは重要である一方、性別欄によってハラスメントなどの困難に直面する人への配慮も必要、との考え方を示しました。海外では、性的マイノリティを含めた統計整備も進みつつあります。
中野区にはパートナーシップ制度や人権及び多様性を尊重するまちづくり条例があります。性的マイノリティの方々の実態を把握し、施策につなげていくためには、調査のあり方を検討することも重要です。現在、区が実施する各種調査では、性的マイノリティに関する設問や配慮について、どのように対応しているのか。また、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
ジェンダー統計は、男女間の格差を可視化し、政策立案や効果の検証、さらには政策の質の向上につながる重要な基盤です。その推進には、男女共同参画センターがリーダーシップを発揮し、庁内横断で取り組む体制が必要と考えます。区の見解を伺います。
ジェンダー統計では、男女の違いだけでなく、性的指向・性自認、障がい、年齢など、さまざまな属性が重なることで生じる格差や生きづらさにも目を向けることが重要です。こうした視点も踏まえながら、実態を的確に把握し、政策につながる統計調査を進めていただくことを要望しまして、私の全ての質問を終わります。

