「香り」で困っている人がいることを知ってください。

2018年12月10日 00時44分 | カテゴリー: 活動報告

12月4日、一般質問にたちました

第4回定例会(11/30〜12/14)の一般質問で、「香害と化学物質過敏症について」質問しました。(質問と答弁の詳細は中野区議会ホームページの会議録でご確認ください)

柔軟剤などの香料による健康被害「香害」

香害とは、香りつき商品の成分で健康被害を受ける人が急増している現象を指す新語で、体臭など健康被害を及ぼさないものは香害には含まれません。

今私たちの回りには、柔軟剤、消臭除菌スプレー、制汗剤、芳香剤、合成洗剤など香りつき商品があふれています。こうした商品の広がりとともに増えているのが、香りの害で苦しむ人たちです。

化学物質過敏症とは

香害による健康被害の症状は人によって様々で、不快感・頭痛・吐き気、喘息、香料アレルギー、シックハウス症候群、化学物質過敏症などがあります。最も深刻なのが化学物質過敏症です。化学物質過敏症は、化学物質を大量に、または、微量だけれども繰り返し体内に取り込むことで発症します。一旦発症するとわずかな化学物質でも全身にさまざまな症状がでる病気で、日本では2009年に病名登録されました。香り商品に含まれている香料は合成香料がほとんどで、複数の物質の混合物ですが、家庭用品質表示法では香料の成分を表示する義務がなく、個々の物質名は公表されていないため、健康被害の原因物質の特定は難しいのが現状です。

先日、化学物質過敏症の方からお話を伺いました。専門病院に行っても、二つの検査を受けて化学物質過敏症と診断されるだけで、治療薬はなく、誘引となる物質を回避してくださいと言われただけだったそうです。化学物質過敏症は体が持つ防御反応の一つなので、発症しやすい人としにくい人はあるものの、誰にも発症の可能性があります。しかし、症状が一人ひとり違っていて多様であるため、周囲からは「神経質」「わがまま」と受け取られたり、香害による健康被害についてはまだまだ社会的にも認知度は低いため、症状があったとしても、香りが原因だということに気づかない人もいると思われます。

  このような香害被害の実態を区はどのように認識しているのか。

A   原因となる物質がごく少量かつ多様であり、症状も多岐にわたるため、診断等が難しい疾患です。加えて、発症のメカニズムや治療方法については、研究途上にあるため、根本的な治療がなく発症すると生活に深刻な影響を与える健康問題であると認識している。

当区での状況

当区での状況はどうかと消費生活センターにお尋ねしたところ、2013年度からの件数ですが、確認できるものでは4件の相談が寄せられています。

  どのような内容で、どのような対応をしたのか。

A    消費生活センターにはこれまで、柔軟剤や洗剤、消香剤などのニオイが気になり、具合が悪くなった、その症状でアレルギー症状が出た、また、化学物質過敏症のため隣の家の洗濯物から出るニオイが不快に感じており、そうした人たちがいることを一般の人たちにも知ってほしい、などの相談があった。これらの相談に対しては、医師に相談することや国民生活センターが提供している柔軟仕上げ剤のニイに関する情報などを提供し、消費者生活センターとして可能な助言、情報提供を行ってきた。

 化学物質過敏症は、症状が進むと外出できなくなったり、仕事が続けられなくなるなど、通常の生活を送るのが困難になり、生活支援が必要なケースもあります。区にこうした相談が寄せられた場合、適切な情報提供や専門機関につなぐなど横断的な体制が必要だと考えますが、区のお考えを伺います。

A   香害については原因物質や健康状態など、多様な相談があり区でも様々な窓口で対応することとなります。国や都等の提供する信頼性の高い情報を庁内で共有しつつ、区民からの相談に対しては、適切な専門医療機関等を紹介できるよう努めていく。

先日香害に悩まされている区内に住む方からもお話をうかがいました。「香害110番」の事例にあったように、隣家の洗濯物のニオイがつらい時があり、お天気の良い日でも窓を開けられない、困ってはいるものの隣に住む人に柔軟剤を使うのをやめてくださいとも言えず、窓を閉めて我慢をしているということでした。このように、香害で困っていても顕在化しないため、他にも事例があることは容易に想像できます。香料による健康被害は、誰もが被害者にも、加害者にもなる可能性があるのです。香害110番(*)が多くのメディアで紹介されたことなどで、公共施設でのポスターの掲示、ホームページで香害について啓発・理解促進をする自治体が増えています。

Q    深刻な健康被害をもたらす香害を予防、また、健康被害を受けている方への理解促進のために、まずは、香害で苦しんでいる人がいることを区報や区のHP、消費生活センターが毎月発行している「消費者相談の現場から」やポスターなどを使って区民への周知に取り組んでいただきたいと考えます。区の見解を伺う。

A   香害、中でも化学物質過敏症については原因物質に晒されないことが現状では唯一の対策ですが、広く一般の方々には知られていない。今後例えば、過度に柔軟剤を使用しないことなどを含め、ホームページに掲載するなど普及啓発に取り組んでいく。

子供への影響について

次に、香料が引き起こす子どもへの影響について伺います。東京都の「化学物質の子どもガイドライン 室内空気編」によると、子どもは体重1kgあたりで比較すると、大人の2倍近くの化学物質を取り込んでいます。2014年発行の、大津市「子どものための化学物質対策ガイドライン」にも同様の記述があり、子どもが利用する施設では、化学物質対策の特別な配慮が必要だとあります。2012年に文部科学省が公表した「学校における化学物質による健康障害に関する参考資料」では、学校環境衛生基準に基づいて、ホルムアルデヒド、トルエンなど6つの揮発性有機化合物に対する基準および検査方法が定められています。施設管理に関する留意点として、揮発性有機化合物等を含まないものを選定してください、芳香剤・消臭剤は、可能な限り使用しないようにしてくださいと明記されています。

Q   当区では現在、学校における化学物質に対し、どのような対策がとられているのか伺う。

A    化学物質過敏症の児童、生徒が安心して授業を受けられるよう、文部科学賞が平成20年度から児童、生徒の求めに応じてインクの匂いを除去するため天日干ししたものやカラーコピーした表紙で包むもの、全ページコピーしたもの、消臭紙で教科書にカバーをつけたものといった4種類の教科書対応本を作成、提供している。中野区では各小学校、中学校に対して、この教科書の情報提供を行い、申し込みに関する案内をしている。

小学生のお子さんがいる区内在住の保護者の方から、学校から給食着の洗濯が当番で回ってくるが、化学物質のニオイがして洗濯をしてもとれない、というお声や、子ども服のおさがりをいただくが、子どもが洗剤や柔軟剤のニオイがすると「くさいから着たくない」というので3回くらい洗濯をしてニオイを薄くしてから着せる、というお話を伺っています。

最近増えている、動いたり触れたりするたびに香りを徐々に放出する香りのカプセルには、トルエンの1万倍の毒性を持つイソシアネートという化学物質が含まれています。イソシアネートは、欧米では厳しく規制されていますが、日本では生活環境での規制はありません。

Q   香料がおよぼす子どもへの影響を考えれば、早めに予防に取り組むことが肝要です。児童・生徒、保護者、教職員に対する香害の啓発と理解促進が必要だと考えます。区の見解を伺う。

A  現在学校では週の給食当番だった児童、生徒が週末に自分が使用した給食着を家庭に持ち帰り、洗濯をした上で次の週の当番児童、生徒に引き継いでいる。給食着の洗濯は各家庭に協力してもらっていることから直ちに使用洗剤を規制するのは難しい面がある。化学物質に過敏で心身ともに影響を受ける恐れのある児童、生徒がいることなどを保護者会や学校だよりなどを通して啓発してもらえるよう、学校に働きかけていきたいと考えている。

日本医師会が発行するニュースでも特集される

日本医師会が10月5日に発行している日医ニュース「健康ぷらざ」は「香料による新しい健康被害も―化学物質過敏症―」と題し、香りによる健康被害を特集しています。その中に「香料を使った製品は、育児、保育の現場でも使用されており、不調を訴えることのできない乳幼児に将来どんな影響があるのかも心配です」とあります。

また、東京都の「化学物質の子供ガイドライン」最後のページには、子供たちへの5つの約束が謳われています。化学物質を使わない、持ち込まない、換気して追い出す、揮発しないものと取り替える、発生源を除去する。この約束をしっかりと果たしていく対応を要望します。

*日本消費者連盟が昨年、香りの害で苦しむ人を対象にした電話相談。2日間で213件の相談があり、そのなかで最も多かったのは、近隣の洗濯物のニオイによる被害。