コロナ禍でも「命や健康に関わる活動はとめない」〜シンポジウム「私の困りごと(ME)を 私たちの関心ごと(WE)へ」〜
生活困窮者支援の現場から
4月17日(土)、なかのZEROホールで、「私の困りごと(ME)を 私たちの関心ごと(WE)へ」と題するシンポジウムが、中野区社会福祉協議会の主催で開催されました。
1部では、(一社)つくろい東京ファンドの小林美穂子さん、中野よもぎ塾代表の大西桃子さんから、コロナ禍の生活困窮者支援についてのお話を伺いました。
2部では、区内で活動する民生児童委員、町会長、子ども食堂代表、ボランティア活動をしている大学生、外国につながる子どもの発達支援のNPO代表理事の皆さんから、コロナ禍での活動の現状などについてリレートークがありました。
活動の現場を持つみなさんのお話は、コロナ禍で起きているさまざまな影響や問題の細部が浮き彫りになっていて、どこか遠くで起きていることでなく、自分のすぐそばで起きていることのような距離感と切実さを感じるものでした。
数ヶ月で状態が激変した高齢者
中でも印象的だったのは、宮桃町会長のお話です。宮桃町会では見守り訪問活動とサロン活動を行なっていましたが、コロナの感染拡大で2020年2月から5月まで活動を中止しました。しかし、その間に孤独死が1件発生しました。そこで、5月末に町会の見守りプロジェクトメンバー4人で対象者約40名を調査すると、認知症を発症したり要介護状態になっている人などが激増していることがわかり、数ヶ月の間にこんなに状況の激変があることに衝撃を受けたそうです。
こうした経験を経て、「たとえコロナ禍の最中であっても、人の命や健康に関わる活動は中止してはならない」と力強く話される町会長の言葉に、私の心の中のモヤモヤが晴れたように感じました。
日本でコロナの感染拡大が始まった2020年初頭から、まだコロナについての情報が少ない中で、感染拡大防止のために受け入れる様々な行動や活動の制限と、そのために日常生活で失われるものとの間で、そのつど選択に悩みながら過ごしてきた1年。選択の基準を明確にできないままに中止した活動、実施してきた活動がありました。
宮桃町会では6月から訪問活動を再開し、現在に至っているそうです。「命と健康」、当たり前のことなのに、初めて経験している未知の疫病が蔓延している中にあって、最も大事なことですら別のものに置き換えて過ごしてきたのかもしれません。宮桃町会長の言葉は、私の胸に深く刻まれました。