次期介護保険事業計画に「ケアラー支援」の視点を —第2回定例会一般質問(2)—
「ケアラー支援」について、区の認識を問う
「ヤングケアラー」への支援の必要性が社会で認識されつつある中、「ケアラー」という言葉も徐々に浸透してきました。ケアラー支援に関する条例を制定した自治体は、本年3月末時点で18に及んでいます。ケアラーの定義について、条例では概ね、高齢、障がい、疾病その他の理由により援助を必要とする家族、友人その他の身近な人に対し、無償で介護、看護、日常生活上の世話その他の援助を提供する者、とされています。
「ケアラー」は、ケアの相手が誰であっても、どんな状態であっても、無償でケアする人すべてを表す言葉として、認識されつつあります。
ケアラー支援に早くから取り組んでいる日本ケアラー連盟は、ケアラー支援の目的について、「ケアラーが健康で文化的な、あたりまえの社会生活やその人らしい人生を送れるようにすること」と謳っています。
区内のケアラーの方からは、もう何年も外食したことがありませんとか、朝までぐっすり眠れたらなど、切実なお声をお聞きしています。超高齢社会、ひきこもりや不登校の増加など、ケアを必要とする人が増える中、ケアラー自身の人生の質の向上を可能にするケアラー支援は、重要な課題だと考えます。
初めに、ケアラー支援についての、区の考え方を伺います。
区長 「ケアラーは、心や体に不調のある人の介護、世話などを無償で行う人を指し、その多くは家族や近親者であり、ヤングケアラーやダブルケアなど、課題が顕在化しにくいと認識をしております。当事者の相談支援に当たっては、家族などケアラー支援の視点を持つことも必要でございまして、関係機関の連携や課題の共有、家族会の支援などに取り組んでまいります」
次に、現在改定作業中の「高齢者保健福祉計画・第8次介護保険事業計画」について伺います。
団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年が間近に迫っています。昨年10月に公表された「中野区介護保険の運営状況」によると、2022年3月末時点の介護保険認定率は、65歳から74歳までの高齢者は4.44%、75歳以上の高齢者は32.55%となっており、75歳以上の方の割合が高いことがわかります。
一方、ケアラーに目を向けてみますと、昨年度実施された「高齢福祉・介護保険サービス意向調査報告書」によれば、要支援・要介護認定者の方の介護を行っている人は、配偶者28,5%、子53.6%、子の配偶者6.9%となっており、約6割が子ども世代です。
団塊の世代のケアラーとなる団塊ジュニアは、バブル崩壊と就職氷河期を経験した世代であり、非正規で働く人やシングルも多いのが特徴です。今後、要介護者とケアラー、双方の増加が見込まれる中、家族の形が大きく変わっており、介護の課題が一層深刻化するおそれがあります。
「中野区高齢者保健福祉計画・第9期介護保険事業計画」において、ケアラー支援を重要な課題とすべきだと考えます。区の見解を伺います。
区長 「家庭で介護を行っている家族の負担軽減につきましては、現行の中野区高齢者保健福祉計画・第8期介護保険事業計画でも触れているところでありますが、ケアラーの課題を改めて整理した上で、次期の計画において盛り込むことを検討してまいります」
今回は介護保険にフォーカスして質問いたしましたが、「中野区障害者計画 第6期障害福祉計画 第2期障害児福祉計画」も改定作業が進められています。この項の初めに述べましたが、ケアラー支援は高齢者の介護をする人だけでなく、障がい児者のケアをする方々も対象です。障害福祉計画の改定におきましても、ケアラー支援を重点課題とすることを要望いたします。