決算特別委員会での質疑(1)「介護保険特別会計について」
ご報告が遅れましたが、2023年第3回定例会(9/14〜10/20)の決算特別委員会で、総括質疑を行いました。
質疑の項目は以下の通りです。項目毎に質疑の内容をご報告します。
1 2022年度決算について
(1)介護保険特別会計について
2 介護が必要になっても安心して住み続けられる中野について
(1)認知症支援について
(2)地域密着型サービスについて
(3)ケアラー支援について
3 「香害」(化学物質過敏症)について
4 中野区子どもの権利に関する条例について
5 全ての職員が働きやすい職場について
(1)中野区職員のワーク・ライフ・バランスと女性活躍推進計画について
(2)会計年度任用職員について
なお、質疑の動画は以下でご覧いただけます。
https://smart.discussvision.net/smart/tenant/nakano/WebView/rd/schedule.html?year=2023&council_id=78&schedule_id=6
1 2022年度決算について 〜介護保険特別会計について
○細野委員
初めに、2022年度決算から、中野区介護保険特別会計について伺います。 実質収支額は、過去最高だった2021年度の5億4,500万円から2.3%減の5億3,300万円となっていますが、3年連続で5億円を超えています。この要因は何でしょうか。
○古本介護・高齢者支援課長 お答えします。令和2年度から令和4年度におきましては、当初予算で見込んでおりましたよりも国庫支出金や都支出金の実績が多かったことが主な要因であるというふうに考えてございます。
○細野委員 実質収支額が連続で5億円を超えた2020年度、2021年度、2022年度はコロナ禍でもあった年度でした。この3年間の介護サービスの利用状況で、新型コロナ感染症拡大の影響によると思われる特徴はありますか。
○古本介護・高齢者支援課長 令和2年度から令和4年度にかけまして、特別養護老人ホームなどの施設サービスにつきましては約1.1%の伸びであったことに対しまして、訪問介護などの居宅サービスにつきましては約7.1%の伸びとなってございます。これは、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、一時的に低下をしておりました居宅サービスの利用が徐々に回復してきているものというふうに考えてございます。
○細野委員 ありがとうございます。居宅介護サービスは徐々に回復してきているという御報告でした。
不納欠損額について伺います。2020年度が3,124万円、2021年度が5,761万円、2022年度が6,068万円で、2020年度と比較すると、2021年度が1.8倍、2022年度が1.9倍になっています。2020年度から2021年度にかけて決算額が増えた理由、この間の収納率アップに向けての区の取組について伺います。
○古本介護・高齢者支援課長 不納欠損額は、それまでの滞納繰越額の影響を受けまして、この間の不納欠損額が多かった理由といたしましては、令和元年10月の消費税率の引上げや、その後の新型コロナウイルス感染症の蔓延等の影響があろうかと考えてございます。一方で、介護保険料の収納率向上対策といたしましては、令和3年3月よりキャッシュレス決済を導入いたしましたほか、令和4年9月からは、Web口座振替受付サービスと申しまして、インターネットのサイト上で口座振替の手続を行うことができる仕組みを導入してございます。
○細野委員 国民健康保険料なんかに比べると、介護保険の収納率はかなりいいとは思うんですけれども、やっぱり不納欠損額6,000万円というのは大きな金額だと思います。引き続き収納率の向上に向けての工夫、また、何らか支援が必要な方には支援につなぐ対応をしていただきたいと思います。
次に、地域支援事業費について伺います。2022年度決算額は前年度比17.5%の減となっています。この要因は何でしょうか。
○古本介護・高齢者支援課長 社会福祉法の改正に伴いまして、新たに重層的な支援体制の整備が求められまして、それまで介護保険特別会計で実施をしておりました地域包括支援センター運営委託が令和4年度から一般会計に移行したことが主な理由でございます。
○細野委員 社会福祉法の改正によって、地域支援事業費に係る地域包括支援センター運営委託費が一般会計へ移行したということですね。
それでは、この項の最後に、介護給付費準備基金について伺います。介護保険の事業実績などをまとめた報告は、例年、10月頃に中野区介護保険運営状況として公表されます。今あるものは昨年度(2022年度)に出されたものですが、これによると、介護給付費準備基金は、介護保険財政の安定的な運営を支えるため、介護保険制度開始とともに設置されたとあります。これまでの基金の活用状況について伺います。
○古本介護・高齢者支援課長 これまで、第2期、第4期、第7期及び第8期におきまして、保険給付や地域支援事業に要する費用を補いますために、介護給付費準備基金を取り崩し、保険料の上昇を抑えてきたところでございます。
○細野委員 先ほどの報告を見ますと、確かに、制度開始から昨年度(2022年度)までの間に、介護保険料の上昇幅を抑えるために、合計8回基金を活用しています。しかしですけれども、保険料基準額は、制度開始の第1期が3万6,300円であったのに対し、今期の第8期では6万8,710円と1.9倍に増えています。一方、基金残高は、第1期の最終年度(2002年度)には9億9,660万円だったものが、2022年度決算では28億294万円、2.8倍になっています。介護給付費準備基金の積立金額ですが、何か基準はありますか。また、基金の活用についての基準についても教えてください。
○古本介護・高齢者支援課長 介護給付費準備基金の積立金額自体の基準はございませんが、基金条例の第2条におきまして、各会計年度に生じました歳計余剰金相当額を積み立てるということとされておりまして、この額は介護保険特別会計予算で定めることとしております。一方で、基金の処分につきましては、同条例第6条によりまして、保険給付及び地域支援事業に要する経費の不足に充てるものとしてございます。
○細野委員 ありがとうございます。中野区介護給付費準備基金条例で、余剰金を積み立てること、そして、基金は保険給付及び地域支援事業費に不足が生じた場合に不足分の財源に充てると規定されているという御説明でした。
それで、基金残高の推移を見ますと、年度によって増減はありつつも、全体としては増加傾向にあります。介護保険料は3年間の給付費用などの推計を基に算出されることから、歳出決算額に占める基金残高の割合について、制度開始の2000年度から2022年度まで計算してみました。一つの指標ではありますが、その結果が今からお示しするグラフです。
これがそのグラフです。青い棒グラフが基金積立残高です。そして、赤い折れ線グラフが歳出決算額に占める基金残高の割合です。そして、見えますか。黄色い棒グラフが基金取崩額です。基金取崩額は、最も少ないのが2019年度の1億3,000万円、そして、最も多いのが2022年度(昨年度)の4億2,000万円です。そして、制度開始時は、歳出決算額に占める基金残高の割合は9%前後でしたが、2016年度以降は10%を超えて、2020年度は過去最高の12.59%でした。これまで最も低かったのは2005年度で、4.66%、ここですね。5%を下回っていました。2017年度以降は12%前後で推移しています。このグラフを作ってみまして、基金を活用したら、保険料というのはもしかしたらもっと抑制できるのではないか、あるいは下げられるのではないか。そもそも、基金は一体どれぐらい必要なのか。基金の積立額を抑えて、介護予防などの事業に使えるのではないかなど、様々疑問が湧いてきました。持続可能な制度運営のためにも、区として一定の考え方を持って基金を積み立てていくべきではないかと考えます。区の見解を伺います。
○古本介護・高齢者支援課長 介護給付費等の推計を正確に行いまして適切な保険料額を設定いたしまして、介護保険制度を安定的・継続的に運営していく必要があろうかと考えております。介護給付費準備基金の活用も今後行っていきたいというふうに考えてございます。
○細野委員 お尋ねしたことと御回答がとちょっとかみ合っていなかったかなという感じはするのですけれども、基金というものが介護保険財政の安定的な運営を図るために大切な役割を果たしているということは私も認識しております。しかし、このまま基金残高を積み上げていくことは、保険給付のためにお預かりした保険料の使途目的として果たして適切でしょうか。介護保険制度はこれからますます必要なサービスです。基金をこれぐらい取り崩したら保険料はこれぐらい抑制される、あるいは下げることができる、取り崩さない場合はこうなる、様々なシミュレーションで、適正な基金積立額の考え方、活用の在り方について、区の考えを持ってこれから基金の積立て、運用をしていただきたいと思います。
すみません、改めてもう一度お聞きします。基金の積立額、活用について、区として、私は、やはり一定の何らかの考え方を持って、これから制度運営に当たるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○古本介護・高齢者支援課長 介護給付費準備基金の活用につきましては、先ほども申し上げましたとおり、介護保険制度の安定的・継続的運営のために積立て、または活用が必要であろうというふうに考えてございます。
○細野委員 介護を必要とする方はこれからしばらく増えていきますね。介護人材の不足やヘルパーの高齢化など、介護保険制度の課題は山積しています。介護の社会化をうたった介護保険制度、制度はあってサービスなしという事態にならないよう、適正な基金の運用、事業の運営をお願いしまして、この項の質疑を終わります。