決算特別委員会での質疑(2)介護が必要になっても安心して住み続けられる中野について

2023年第3回定例会(9/14〜10/20)の決算特別委員会での総括質疑のご報告2です。

2 介護が必要になっても安心して住み続けられる中野について
 (1)認知症支援について
 (2)地域密着型サービスについて
 (3)ケアラー支援について
なお、質疑の動画は以下でご覧いただけます。
https://smart.discussvision.net/smart/tenant/nakano/WebView/rd/schedule.html?year=2023&council_id=78&schedule_id=6

第3回定例会では、感染症予防のためマスクを着用しての開催となりました

 2、介護が必要になっても安心して住み続けられる中野について

(1)認知症支援について

○細野委員 認知症の家族介護を描いた小説、有吉佐和子さんの「恍惚の人」が出版された1970年代から認知症が社会的課題になり、半世紀がたちました。この50年の間に、多くの方々の努力と試行錯誤により、認知症に対する考え方の変化、施策が進んできました。認知症に詳しい認知症介護研究・研修東京センターの永田久美子さんによれば、認知症は、問題を重視する考え方から可能性を重視する考え方に、絶望から希望へと大きな転換を図る時代になっています。2018年11月には、日本認知症本人ワーキンググループが、「一足先に認知症になった私たちからすべての人たちへ」と題された、認知症と共に生きる希望宣言を表明しました。最近では、認知症本人の方が様々発信もされています。今年6月には共生社会の実現を推進するための認知症基本法が成立しました。認知症と共に希望を持って生きる社会を中野区から推進するために、認知症支援について伺います。

 昨年度(2022年度)から、区の推進事業として、認知症地域支援推進事業が区内4か所で実施されています。平仮名で「なかののなかま」と書かれたチラシには、どなたでも気軽に立ち寄れて、自由に相談ができて、ゆったり過ごせる場所と案内されています。認知症の方や家族の方などが集まる場所というとオレンジカフェがありますが、オレンジカフェと認知症地域支援推進事業の違いについて伺います。

○河村地域包括ケア推進課長 オレンジカフェは、認知症の人やその御家族がお気軽に参加できる居場所でございます。一方、認知症地域支援推進事業は、医療職や福祉職等、認知症ケアの経験がある専門員を配置し、適切に医療やサービスにつなげられるほか、居場所の利用が難しい人でも、支援者の声かけにより気軽に参加することができるものとなってございます。オレンジカフェは地域住民、NPO法人、介護事業所、福祉施設、医療機関等の様々な主体が運営しており、区は登録したオレンジカフェに対し運営方法等の支援を行ってございます。一方、認知症地域支援推進事業は東京都高齢社会対策区市町村包括補助事業を活用して運営してございます。

○細野委員 ありがとうございます。
認知症地域支援推進事業は、たしか中野区の委託事業ということでよろしかったですか。

○河村地域包括ケア推進課長 委託事業でございます。

○細野委員 ありがとうございます。認知症地域支援推進事業は社会福祉士などの専門職が常駐して開催される事業ということで、そして、オレンジカフェは、区から運営に対する支援はありますが、経済的な支援はないということだと思います。この違いを確認した上で、それぞれについてお聞きします。

 まず、オレンジカフェについてです。中野区オレンジカフェ連絡会からは、サポーターがいれば認知症の方でも働くことは可能であり、掃除や準備、片付けなど、働く機会を確保して収入を得る支援の仕組みを構築してほしいという御要望を頂いております。私も、認知症の方が持っている力を発揮できる場所や機会、それに対するインセンティブがあれば、生きがいややりがいにつながると考えます。認知症の方が働く仕組みづくりをオレンジカフェなどから始めてはいかがでしょうか。

○河村地域包括ケア推進課長 認知症があっても生きがい、やりがい、社会参加の機会を持つことは、御本人の自己実現や認知症の進行を遅らせる上で重要なことであると認識してございます。既にオレンジカフェでは認知症の人に役割をお願いしているところもあると聞いてございます。対価を得られる仕組みづくりについても今後検討してまいりたいと考えてございます。

○細野委員 ありがとうございます。様々恐らくクリアしなければならない課題はあるかと思いますが、前向きな御答弁を頂きましたので、ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、認知症地域支援推進事業について伺います。この事業は東京都の認知症とともに暮らす地域あんしん事業を活用して実施されています。都の補助金額や補助率、区の支出額について教えてください。

○河村地域包括ケア推進課長 認知症地域支援推進事業の令和4年度の区の補助基本額は479万6,000円で、239万8,000円の補助、2分の1の補助を受けているところでございます。

○細野委員 2022年度から始まった事業ですが、昨年度の事業実績について伺います。

○河村地域包括ケア推進課長 令和4年度の本事業の回数につきましては、4か所で合わせて178回、延べ利用人数が1,341人、相談数が76件、うち35件を地域包括支援センター等へ引き継いでございます。

○細野委員 延べ人数で参加者が1,000人を超えて、相談から地域包括支援センターへつながった方もいらっしゃるということですね。認知症サポーターやサポートリーダーの活動の場にもなっていると私はお聞きしています。
現在、4か所で実施されていますが、設置箇所数、設置場所についての区の考え方を伺います。

○河村地域包括ケア推進課長 認知症地域支援推進事業はすこやか福祉センター圏域ごとに1か所ずつ設置しております。2か所は社会福祉法人の施設内で、2か所は商店街の一角に設置してございます。商店街は誰でも入りやすく、通りかかって立ち寄った方もいらっしゃると聞いております。施設内につきましては、施設利用者だけでなく、地域の方にも御利用いただいているところでございます。

○細野委員 すこやか福祉センター圏域というのは基本の考え方だと思いますが、こうした場所は、もっと身近なところにあることで、より多くの方が利用しやすくなるのではないかと思います。区内の介護事業所の方からはこうした事業に参加したいという要望を頂いております。今後、設置箇所をもっと増やしてはいかがでしょうか。

○河村地域包括ケア推進課長 認知症地域支援推進事業は、専門職等が配置されていることで適切に医療やサービスにつなげられるほか、居場所の利用が難しい人でも支援者の声かけにより参加することができると認識してございます。認知症支援を展開している事業者の御協力により拡充することも検討してまいりたいと考えてございます。

○細野委員 拡充ということで、本当にぜひどうぞよろしくお願いします。時間の関係で、最後の質問を飛ばせていただきます。
移動が困難な方も参加しやすい拠点にするためにも、移動支援の構築とともに、身近な場所での居場所など、拠点整備の推進をお願いいたします。ありがとうございました。

(2)地域密着型サービスについて

○細野委員 介護保険事業計画は、現在、第8期の最終年度で、来年度(2024年度)から第9期に入ります。当区においても次期計画の策定作業が進められていますが、7月に国が公表した第9期介護保険事業計画基本指針には幾つかの見直しのポイントが示されています。その中の一つに、在宅サービスの充実として、居宅要介護者の在宅生活を支えるための地域密着型サービスのさらなる普及があります。また、2024年度の介護報酬改定におきましても最重点サービスとして位置付けられています。在宅での生活を支えるために地域密着型サービスを普及させることは、国の方針とも合致するということです。そこで、地域密着型サービスの一つである小規模多機能型居宅介護の普及について伺います。まず、小規模多機能型居宅介護について、簡潔で分かりやすい説明と、区内の事業所数を教えてください。

○古本介護・高齢者支援課長 小規模多機能型居宅介護と申しますのは、施設への通所を基本といたしまして、居宅への訪問や施設への宿泊を組み合わせまして、入浴、排泄、食事等の介護、調理、掃除などの家事等のほか、機能訓練のサービスを提供するものでございまして、区内には6事業所がございます。

○細野委員 中野区介護サービス事業所連絡会からは、登録率が振るわず、各施設が赤字運営であるとお聞きしています。そこで伺いますが、区は、区内の小規模多機能型居宅介護の登録率を把握していますか。また、運営状況についてはどのような認識でしょうか。

○古本介護・高齢者支援課長 区内の小規模多機能型居宅介護の定員数に対する登録者数の平均でございますが、直近で64.5%というふうに把握をしてございます。区内の事業所からは、安定的な事業運営のためには登録率を引き上げる必要があるというふうに聞いてございます。

○細野委員 登録率が伸びない要因については区としてどのようにお考えでしょうか。

○古本介護・高齢者支援課長 区内の事業所からは、小規模多機能型居宅介護のサービスの内容やそのメリット等が十分に利用者やケアマネジャー等に浸透していないのではないかという意見を頂いているところでございます。

○細野委員 小規模多機能型居宅介護サービスは、利用者、家族はもちろん、居宅介護支援事業所の介護支援員の方にもまだまだ十分に理解されていない現状があるのではないかと事業者の方からお聞きしています。小規模多機能型居宅介護事業所の広報に対し、区としてこれまでどのような支援をされてきたのでしょうか。

○古本介護・高齢者支援課長 小規模多機能型居宅介護サービスの周知につきましては、令和元年度までは区役所1階のロビーでのパネル展示、令和2年度には介護サービス事業所への集団指導の際にチラシ配布を行っております。また、本年8月には中野駅ガード下ギャラリー「夢通り」へのポスター展示を行いましたほか、来月には、このとき使用いたしましたポスターを区役所1階に展示する準備を進めております。

○細野委員 以前に比べれば認知度は上がっているそうなんですけれども、まだまだ知らない方も多いということです。病院や老人保健施設からの退院の支援に適していることなど、このサービスの利点を分かりやすく周知するなど、いろいろ考えられるかと思います。今後、サービスの周知についてどのような支援を行う必要があると考えていらっしゃいますか。

○古本介護・高齢者支援課長 小規模多機能型居宅介護サービスにつきましては、制度としましては、サービスが月額制であることから、料金を気にすることなく安心して利用できることや、通いや訪問、宿泊といったサービスを一つの事業所でまとめて利用できるという利点がございます。今後も介護サービス事業所連絡会等と連携をいたしまして、サービスのメリット等の周知に努めたいと考えてございます。

○細野委員 在宅での生活を支えるための大事なサービスですので、区としても利用者にとって分かりやすい周知、広報をお願いいたします。ありがとうございました。

(3)ケアラー支援について

○細野委員 私は2018年第1回定例会で、支える人の健康と生活を守るケアラー支援について一般質問をしました。このとき、当時はまだほとんど知られていなかったヤングケアラーについても取り上げ、全てのケアラーへの支援を求めました。その後、ケアラー支援条例を制定する自治体が増え、ヤングケアラーにおいては国の調査も実施され、支援に取り組む自治体も増えています。当区でも来月(10月)からは、ヤングケアラーの支援に向けて、小学生・中学生・高校生世代を対象とする調査が実施される予定です。ケアラーという言葉も少しずつ定着し、支援の必要性については理解が徐々に進んでいると感じております。一方で、ケアラーへの具体的な支援についてはこれからの領域です。厚生労働省は、第9期介護保険の運営方針に関する基本方針に、認知症高齢者の家族、ヤングケアラーなど、家族介護者支援に取り組むことが重要と明記しました。ケアラー支援についてもこれから推進していくことを期待しますけれども、まずは、ケアラーを支援の入り口につなぐための提案について伺います。初めに、当区におけるケアラー支援には、現在、どのようなものがありますか。

○河村地域包括ケア推進課長 現在区で行っているケアラー支援には、家族介護教室、家族介護支援、オレンジカフェ、認知症地域支援推進事業、すこやか福祉センターや地域包括支援センターにおける相談、もの忘れ相談会がございます。また、ヤングケアラー支援につきましては、今年度からコーディネーターを配置し、スクールソーシャルワーカー等と連携して、適切な相談支援やネットワークづくりに取り組んでいるところでございます。

○細野委員 地域包括支援センターやすこやか福祉センターなど、随分知られてきたのではないかなと感じる一方で、介護が必要になったばかりの方からは、どこに相談に行ったらいいかが分からないという声を、実は今もお聞きすることが何度かあるんですね。今お答えいただいた支援内容や相談窓口、地域資源をまとめたケアラー支援マップを作成して、公共施設や医療機関などで配布してはいかがでしょうか。ケアラーになりそうな人、なったばかりの人などには、介護の入り口を案内することで情報を得られ、今後の見通しが立ち、安心感が得られるなど、ケアラーの負担を軽減することができると考えます。また、既にケアラーの人にとっても、知らなかった新たな居場所やサービスを知ることができるのではないでしょうか。名称にはこだわっていないのですけれども、ケアラー支援マップの作成を検討していただきたいと思います。いかがでしょうか。

○河村地域包括ケア推進課長 ケアラーには相談しやすい環境が必要であると認識してございます。ケアラーを孤立させないために、ケアラー支援マップのような、見える化したツールを今後検討していきたいと考えてございます。

○細野委員 ありがとうございます。ぜひなるべく早めによろしくお願いいたします。

 今ある相談窓口は、仕事をしている方、時間に余裕がない方などにとっては、窓口に行けないなど、相談にたどりつけない人もいると思われます。SNSを利用した相談窓口など、いつでもどこでも安心して相談できる窓口も検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○河村地域包括ケア推進課長 24時間いつでも相談できるツールとして、SNSを活用したオンライン相談は有効であると認識してございます。SNSを活用した相談しやすい窓口につきましては、今後検討してまいりたいと思ってございます。

○細野委員 区としても前向きに考えていただいているようで、ありがとうございます。こうした相談活動を生かして、ケアラー支援の具体的な政策につながるような、そうした取組もぜひよろしくお願いいたします。ありがとうございました。