決算特別委員会での質疑(3)「香害」(化学物資過敏症)について

2023年第3回定例会(9/14〜10/20)の決算特別委員会での総括質疑のご報告3です。

3 香害(化学物質過敏症)について
なお、質疑の動画は以下でご覧いただけます。
https://smart.discussvision.net/smart/tenant/nakano/WebView/rd/schedule.html?year=2023&council_id=78&schedule_id=6

第3回定例会では、感染症予防のためマスクを着用しての開催となりました

3「香害」(化学物質過敏症)について

○細野委員 柔軟剤などに含まれる化学物質による香り成分で体調不良を起こす香害については、独自に作成したポスターなどで啓発する自治体があったり、日本医師会のニュースでも取り上げられたり、この夏には朝の情報番組でも特集されたりして、啓発が活発になっています。昨年8月には香害をなくす議員の会が発足し、今年6月時点で92人が参加しています。今後、成分表示の義務化などに向けての活動が進んでいくとも思われます。一方で、香り付き商品のコマーシャルは毎日繰り返されています。こうした中になって、香害はより深刻になりつつあるとも感じています。一人でも多くの人にこの問題を知ってもらい、香害を減らしたいとの思いで伺います。香害について、最近、区にどのような相談や意見などが届いていますか。また、区民の方からの相談や意見に対しどのような対応をしていらっしゃいますか。

○秦生活衛生課長 御質問にお答えいたします。区民から香害に関するものと思われる相談は2件ございました。1、まちなかから柔軟剤の香りがし、困っている。2、保育園でプールを利用した子どもが帰ってくると柔軟剤の香りがする。プールを利用した方の水着に付着した柔軟剤がプールに溶けて、水質が汚染されているのではないかという相談が区に寄せられました。また、香りの感じ方には個人差があり、科学的に明らかになっていないことが多いため、相談者からお話を伺った上で、健康被害が疑われる場合は医療機関を受診するよう伝えてございます。また、保健所では、区民の方が利用するプールの水質等の衛生管理について監視、指導を行っています。香害について意見があった日は関係部署に情報提供をいたしました。

○細野委員 今、御答弁を聞かれた方は、2件だけかともしかしたら思われた方がいるかもしれませんけれども、私が調べましたところ、2019年12月の中野区環境審議会の議事録には、このときの審議会は中野区環境基本計画の検討のテーマについて審議していたときなんですが、ある委員から香害を盛り込んでいただきたいという発言があります。また、2020年1月に公表された環境に関する区民事業所アンケートの自由意見にも、今、一番困っているのは近所の香害です。洗濯洗剤の強い香料で頭痛、吐き気が起こりますという意見があります。私は、区内にお住まいの症状が本当にかなり重い方からお話を伺ったことがあります。また、地域を回っていますと、実は、私の夫が電車に最後の目的地まで乗っていられなくて、途中で降りたのですとか、娘が職場で大変困っていますといったような御家族の香害による体調不良のお話や相談をお聞きします。メールを頂いたこともあります。相談にはつながっていませんけれども、困っている方は区に来ている件数以上にいる可能性があると私は思っています。香害に対する区の取組について伺います。

○秦生活衛生課長 お答えいたします。国や都等の提供する情報を基に、ホームページや保健所でのポスター掲示によって周知を行ってございます。

○細野委員 2021年夏に、消費者庁、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、環境省の5省庁連名で啓発ポスターが作成されました。キャッチコピーは「その香り 困っている人がいるかも」というもので、これがそのポスターです。見えますでしょうか。こういうポスターが5省庁連名で作成されて、自治体への情報提供などもされていたはずです。ただ、このポスターなんですけれども、実は大変不評でした。「困っている人がいるかも」では、実際に困っている人の実態が伝わらないということで、本年度ようやく、多くの人の意見を踏まえて、新しいポスターが作られました。それがこのポスターです。「その香り 困っている人もいます」というふうにキャッチコピーが修正されています。しかし、私自身はこれでもまだ十分ではないと思っています。下のほうを見ますと、香りの強さの感じ方には個人差がありますということで、使用量の目安などを参考にという一文があるのですが、こうした香害という化学物質過敏症というのは、適量を使っていたら発症しないということではなくて、少量でも繰り返し体内に取り込んでしまうことで、こうした体調不良を起こしてしまいます。ですので、まだまだこのポスターももうちょっと何とかならないかなという思いはありますけれども、それでも一歩前進だと感じます。5省庁連名のこのポスターですけれども、区内では、残念ながら保健所に掲示されたものしか見かけることができませんでした。改訂されたポスターの活用など、香害の啓発、広報について、今後どのように取り組んでいかれますか。

○秦生活衛生課長 今後は改訂されたポスターを活用し、香り付き製品については周囲の方に可能な限り御配慮して使用していただけるよう、関係部署とも情報を共有し、ポスターの掲示場所などをはじめ、より効果的な広報について検討していきたいと考えております。

○細野委員 ありがとうございます。区内の様々な公共施設などでこうした啓発ポスターを見られるように、よろしくお願いいたします。

 次に、消費生活センターについて伺います。すみません、一つ目の質問は時間の関係で飛ばせていただきます。
消費生活センターでは毎月「消費生活センター情報特急便」を発行しています。香害の特集を組んで広報していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

○小堺区民サービス課長 消費生活センターが発行しております情報紙等に関連記事を掲載するなど、啓発の取組を行っていきたいと考えております。

○細野委員 ありがとうございます。消費生活センターでもポスターの掲示などを併せてよろしくお願いいたします。

 香害については子どもたちへの影響も心配です。9月8日、小・中学校の給食エプロンの共用を廃止した愛知県豊橋市の取組がニュースになりました。コロナ禍ということではありましたが、柔軟剤の臭いで一部の子どもが体調不良になるという保護者からの声が上がっていたことも理由です。ニュースでは、給食エプロンの共用を廃止する動きが全国で徐々に出ていると報じています。私も区民の方から相談を受けたことがあるのですが、当区の学校で給食の白衣に関する相談があった場合、どのような対応ができるでしょうか。また、白衣だけでなく、手洗いの石けんなども香料などが入っていないものが望ましいと考えますが、どのような対応が可能でしょうか。

○齊藤指導室長 化学物質に過敏で、心身に影響を受けるおそれのある児童・生徒がいることは認識をしておりますが、給食着に残る柔軟剤等の臭いへの苦情は、今のところ、学校から教育委員会への報告は上がっておりません。給食着に残る臭いについて相談があった場合は、予備の給食着などで代用をしております。

○細野委員 石けんなど、そちらについてはいかがでしょうか。

○齊藤指導室長 各学校で石けん等は購入をしてございます。臭いに関しては、ポスター等も配布されていますので、学校のほうにも引き続き呼びかけをしていきたいと考えております。

○細野委員 香りというのは本当にデリケートな問題で、一人ひとり感じ方とかも違うということは重々私も承知しているのですけれども、実際に保護者の方から相談を受けたこともありまして、学校にもお伝えしたと、当時はそのようなこともおっしゃっておりました。なかなかそれが伝わっていない面もあろうかと思われます。実際にそういう方がいるということは事実といいますか、いらっしゃいますので、こうした子どもがいるということを前提としていろいろ学校での対応をお考えいただきたいと思います。

 教職員や保護者や子どもたちに向けて、学校だよりなどで香害について掲載して啓発も行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○齊藤指導室長 化学物質過敏症について、保健だよりや給食だより、学校だより等を通して啓発を行っている事例や、消費者庁が作成したポスターが配布されたことを機に児童・生徒や保護者に周知している学校もあることを確認しております。教育委員会といたしましては、これらの事例を共有することで各学校への啓発を強化してまいります。

○細野委員 この学校はやっている、この学校はやっていないということでなくて、区内の学校ではこうした啓発をやっていただけるように、どうぞよろしくお願いいたします。様々な化学物質から子どもたちを守るには、まずは、大人も子どもも香害について知ることが大切です。自分の周りに健康被害を受けている人がいるかもしれないと想像力を働かせられるような広報をお願いいたします。ありがとうございました。