大災害の経験を生かした防災対策について(第1回定例会一般質問から②)

2024年2月16日、中野区議会第1回定例会で一般質問に立ちました。以下、質問と区の答弁です。

大災害の経験を生かした防災対策について

(1)災害対応力を強化する女性の視点について

 本年1月1日に起こった能登半島地震から一月半が経過しました。私たちが暮らす東京でも、いつ大規模な地震が起きてもおかしくない中で、今定例会では他の議員の方からも防災に関する質問がされています。私からも、災害対応力を強化する女性の視点から質問いたします。

 阪神・淡路大震災、中越沖地震、東日本大震災など大きな災害の経験から様々な課題が洗い出され、その対策も進められてはいるものの、災害が起きると、避難所ではトイレ、プライバシー、衛生環境など、それまでと同様の課題が浮き彫りになります。

 内閣府男女共同参画局では、これまでの災害において、様々な意思決定過程への女性の参画が十分に確保されず、女性と男性のニーズの違いなどが配慮されないといった課題が生じたことから、男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドラインを2020年5月に策定しています。

 防災分野の様々な意思決定のプロセスに女性が参画することは、発災直後からジェンダーに配慮した迅速な対応をするために今や必須です。ジェンダーに配慮した対応は、子どもや障害のある人、高齢者、外国人の方など多様な人への配慮につながり、被災者の健康にも大きく影響します。

 では、当区の現状はどうでしょうか。区の防災計画の作成や防災に関する重要事項を審議する中野区防災会議においては、委員総数45人のうち女性は4人、区民及び関係団体の意見を反映させる中野区防災対策連絡協議会は48人のうち女性は15人、防災・危機管理の担当職員は28人のうち女性職員は2人で、女性の参画が進んでいるとは言えない状況です。

質問 防災分野における意思決定過程に女性の参画が進んでいない要因は何でしょうか。
防災危機管理担当部長 中野区防災会議や中野区防災対策連絡協議会などにおきまして、委員改選時等に女性委員の推薦を促しているところでございますが、各防災機関におけます選任候補者は特定の役職についている方が多いということが女性委員の比率が低い主な要因として考えているところでございます。 

 群馬県渋川市では、職員と市民が一緒に地域防災計画を検討する地域防災計画改定検討委員会を設置し、委員の選出に女性を要請するなどした結果、女性委員6割以上を実現しました。また、鳥取県では、防災会議においていわゆる充て職があることや、指定されている組織の長に女性が少ないことから、条例で男女比率の均衡を規定することで、女性比率40%以上を実現しています。

質問 当区においても、防災に関する意思決定のプロセスにおいて、女性の比率半数を実現する、より積極的な取組が必要だと考えます。区の見解を伺います。
防災危機管理担当部長 防災に関する各種会議におきまして女性委員の比率を増やすことは、災害対策に女性の視点や女性に配慮した施策を盛り込み、災害対応力を強化する上で重要であるというふうに認識をしてございます。このため、これまでも各種会議における推薦団体の構成を見直すなど、女性委員の比率の増加に努めてまいりました。今後も各種会議への女性委員の比率を増やす取組について、他の自治体の事例を参考に検討してまいります。

 先日の男女共同参画局の防災・復興ガイドラインには、災害発生時にすぐ活用できるチェックシートやポスターなどが掲載されています。備蓄チェックシート、避難所チェックシート、応急仮設住宅・復興住宅チェックシート、男女別のデータチェックシートなど、これまでの災害の経験を踏まえて作成されていて、女性に対する暴力の防止・安全対策なども盛り込まれています。備蓄物資や発災後のニーズを把握するに当たり、チェックを入れることですぐに使えるガイドラインです。

質問 備蓄物資の更新、避難所運営マニュアルの見直しに合わせ、これまでの災害の教訓を生かした、より実効性の高い対策、マニュアルにするために、防災・復興ガイドラインのチェックシートやポスターの活用を検討されてはいかがでしょうか。
防災危機管理担当部長 避難所運営マニュアルでは、避難所運営に係る時系列の対応や役割分担、施設利用と併せ、女性や高齢者、感染症対策などの配慮について、避難所運営を担う自主防災組織の役員等と共有しているところでございます。避難所運営に係ります防犯や安全対策、物資の備蓄などに関して、より女性の視点による課題が共有されるよう、男女共同参画局の防災・復興ガイドラインの内容などにつきまして、避難所運営マニュアルに盛り込んでまいりたいというふうに考えてございます。

平時からの災害への備えが重要なことは申すまでもありません。災害対応力を強化するためのより一層の取組を要望します。